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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2015年12月23日 (水)

薬としての食品:西洋ワサビ(1)

第183回目の話題:薬としての食品:西洋ワサビ(1)”です。ABCのHerbalEGramの新しい記事シリーズの“Food as Medicine”により取り上げられた植物を紹介します。今回は”西洋ワサビ(ホースラデイッシュ)“です。

http://cms.herbalgram.org/heg/volume12/01January/FoodAsMedicineHorseradish.html

800pxarmoracia_rusticana

 

<原文>

History and Traditional Use

Range and Habitat

Horseradish is a hardy perennial native to southeastern Europe and western Asia. Today, it is grown in the temperate regions of Europe, Asia, and North and South America, as well as some parts of Africa and New Zealand.1 The plant grows in clumps with bright green leaves that radiate out from the main taproot, which is cultivated as a food ingredient.2 Small, white, four-petaled flowers grow from a stalk that can reach two to three feet or higher when flowering.2 Young leaves two to three inches in length also can be harvested for use in salads.3

Horseradish is easy to cultivate and often will continue to thrive even during periods of neglect.4 While technically a perennial, it is best treated as an annual or biennial crop due to the root’s tendency to become woody and unpalatable with age. Once established, horseradish grows well in full sun and slightly moist soil.1

 

生育範囲

 

西洋わさびは、南東ヨーロッパと西アジア原産の丈夫な多年草である。今日では、ヨーロッパ、アジア、南北アメリカの温帯地域だけでなく、アフリカ、ニュージーランドの一部で栽培されている。1この植物は主根から放射状に広がる明るい緑色の葉とともに塊に成長し、食品成分として栽培されている。2小さな、白い、四つの花弁の花は、開花すると2〜3フィート以上に達する茎から成長する。2長さ2〜3インチの若い葉はサラダで利用するために収穫される。3

 

西洋わさびは、栽培が容易であり、多くの場合、顧みない期間中でも繁茂し続ける。4技術的には多年生であるが、根が木質化しまた年齢とともにまずくなる傾向のため一年生または2年生作物として扱われている。一度根付くと、西洋ワサビは十分な太陽と少し湿った土壌でよく育つ。1

 

 

<解説>

 ホースラディッシュ(horseradish、学名:Armoracia rusticana)は、アブラナ科の耐寒性の多年草です。和名はセイヨウワサビ(西洋山葵)です。北海道では山わさびと呼ばれます。日本には明治初年に伝来し、西洋料理ではローストビーフなどの付け合わせや、ソースの具材として使われます。辛さは本わさびの約1.5倍あり「粉わさび」や「チューブタイプ」の加工わさびの原料としても使われています。

 日本では、加工わさびの原料として、以前は、長野県、埼玉県、北海道で栽培されていましたが、現在では北海道が主な産地になっています。平成20年産で見ると全国で1498トン生産されていますが、その1496トンが北海道で作られ、残りの2トンは長野県と鳥取県で1トンずつとなっています。

 日本の使用量の大半は、加工わさびの原料ですが主に中国からの輸入原料でまかなわれているようです。

 

 

<原文>

Phytochemicals and Constituents

Glucosinolates, sulfur-containing secondary metabolites, give horseradish its characteristic spicy flavor.5 Horseradish contains eight different glucosinolates, of which sinigrin, gluconasturtiin, glucobrassicin, and neoglucobrassicin are the most common.5 Once inside the body, glucosinolates are broken down into powerful derivatives called isothiocyanates and indoles, which are believed to be the main cancer-preventive constituents of horseradish and other cruciferous vegetables (i.e., vegetables of the family Brassicaceae).1,6

Horseradish also contains minerals such as phosphorous, calcium, magnesium, and potassium.7 Freshly grated roots contain minimal fat, are low in calories, and rich in vitamin C. Cooking horseradish can strip it of its nutritional value, so it is best used fresh.1

 

植物化学物質と成分

硫黄含有の二次代謝物であるグルコシノレートは、セイヨウワサビにその特徴的なスパイシーな風味を与える。5 西洋わさびは、8つの異なるグルコシノレートを含んでおり、そのうち、シニグリン、gluconasturtiin、glucobrassicin、、neoglucobrassicinが最も一般的である。5 いったん体内にはいると、グルコシノレートは、イソチオシアネート 、インドールと呼ばれる強力な誘導体に分解される。それらは、 ホースラディッシュや他のアブラナ科の野菜(すなわち、アブラナ科の野菜)の主ながん予防成分であると考えられている。1,6

 

西洋わさびにはまた、リン、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどのミネラルが含まれている7。生のおろしたな根は脂肪がほとんど含まれていないため、低カロリーであり、ビタミンCが豊富である。調理した西洋わさびは、その栄養的な価値がそこなわれる可能性があるため、生で利用するのが最もよい。1

 

<解説>

 ダイコンおろし、辛子などのアブラナ科の植物を食べた時の辛味成分は、イソチオシアネート(辛子油)といいます。イソチオシアネートは、天然に100種類以上あると言われています。ダイコンをすりおろすと辛味を感じますが、すりおろす前のダイコンは強い辛味は感じられないのはなぜでしょうか。これは、ダイコンは、すりおろされて初めてイソチオシアネートを発生するからです。すりおろす前のダイコンには、イソチオシアネートの元になるグルコシノレート(辛子油配糖体)という成分が含まれています。この成分自体に辛味はありません。

 アブラナ科の植物の篩部(しぶ)に「ミロシン細胞」という特殊な細胞があり、柔細胞にはグルコシノレート(カラシ油配糖体)を含むのが大きな特徴です。(近縁のフウチョウソウ科やワサビノキ科も含む)。植物体が傷つくとミロシン細胞内の酵素(ミロシナーゼ)が配糖体を加水分解してイソチオシアン酸アリルを遊離します。この物質がからしやワサビ、大根おろしなどに特有のツンとした辛味の成分であり、昆虫などの草食動物による食害から防御する手段であると考えられています。

 イソチオシアネートは近年その抗ガン効果が注目され、がん予防剤としての多くの望ましい性質が示されています。

 

 

 

<原文>

Historical Uses

Horseradish root has been ground into a spice, prepared as a condiment, and used medicinally for more than 3,000 years. It was used topically by both the Greeks and Romans as a poultice to ease muscle pain, such as back aches and menstrual cramps.3 Internally, it was used to relieve coughs and as an aphrodisiac.4 Starting in the Middle Ages (ca. 1000-1300 CE), horseradish was incorporated into the Jewish Passover Seder as one of the maror, or bitter herbs.3 In the 16th century, Europeans began using horseradish in sauces and condiments as well as for its medicinal applications.

Historically, horseradish was used to treat a wide variety of illnesses including asthma, coughs, colic, toothache, and scurvy (due to its vitamin C content). Grated horseradish poultices were used to ease pain associated with gout and sciatica, and also were infused in milk to clarify the skin and remove freckles.3 Currently, horseradish is consumed regularly in the form of ready-to-use sauces and dips.2 In 2005, the Horseradish Information Council reported that in the United States, 24 million pounds of horseradish roots were processed into six million gallons of prepared horseradish sauce.3

 

歴史的な利用方法

 

セイヨウワサビの根は、スパイスの中に粉砕されて、調味料として準備され、3,000年以上も薬用として使用されてきた。背中の痛みや生理痛のような筋肉の痛みを和らげるために湿布としてギリシアとローマの両方で局所的に利用された3。内用では、咳を和らげたり、媚薬として使用された4。中世以降(約1000-1300CE)、セイヨウワサビはまたmaror、または苦いハーブのひとつとして、ユダヤ人のPassover Sederに組み込まれた3。16世紀になると、ヨーロッパ人はソースや調味料ならびにその薬用アプリケーションの一つとして使用しはじめた。

歴史的には、セイヨウワサビは、喘息、咳、疝痛、歯痛、および壊血病(そのビタミンC成分による)などの様々な病気の治療に広く使用された。粉にした西洋わさびの湿布剤は痛風や坐骨神経痛に伴う痛みを緩和するために使用され、また、皮膚をきれいにし、そばかすを除去するために、ミルク中に注入された3。現在、西洋ワサビは、すぐに使用できるソースやディップの形で定期的に消費されている2。2005年に、西洋ワサビ情報委員会は、米国では、2400万ポンドの西洋ワサビの根が、600万ガロンの西洋ワサビソースに加工されたことを報告している。3

 

<解説>

英国王立園芸協会のハーブ大百科には<薬用>として以下の記載があります。

“虚弱体質、関節炎、痛風、坐骨神経痛、呼吸器及び泌尿器の感染症、悪寒を伴う発熱に内服する。過剰摂取は嘔吐をおこし、他のアレルギー反応を誘発するようである。胃潰瘍または甲状腺疾患の患者には使用してはならない。外用薬として可能した傷、胸膜炎、関節炎及び心膜炎の湿布に使用する。”

 細心薬用植物学(廣川書店)にも、“香辛料、食欲増進、引赤薬”との記述があります。

同じアブラナ科のカラシナ(ワガラシの原料)は、その種子が芥(カイシ)という生薬で、引赤、湿布剤として利用されています。

 

以下次号                       訳、記 阿部俊暢

 

 

References

1.Small E, ed. Culinary Herbs. Ottawa, ON: NRC Research Press; 1997.

 

2.Van Wyk B-E. Food Plants of the World: An Illustrated Guide. Portland, OR: Timber Press; 2005.

 

3.The Essential Guide to Horseradish. The Herbal Society of America website.  Available here. Accessed January 5, 2015.

 

4.National Geographic Society. Edible: An Illustrated Guide to the World's Food Plants. Washington, DC: National Geographic Society; 2008.

 

5.Alnsour M, Kleinwächter M, Böhme J, Selmar D. Sulfate determines the glucosinolate concentration of horseradish in vitro plants (Armoracia rusticana Gaertn., Mey. & Scherb.). J Sci Food Agric. 2013;93(4):918-923.

 

6.Rinzler CA. The New Complete Book of Herbs, Spices, and Condiments: A Nutritional, Medical, and Culinary Guide. New York, NY: Checkmark Books; 2001.

 

7.US Department of Agriculture. USDA National Nutrient Database for Standard Reference, Release 27. Available here. Accessed January 5, 2015.

 

 

参考資料:

*旬の食材百科

 http://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/raifort.htm

*  英国王立園芸協会 ハーブ大百科

*  最新薬用植物学(廣川書店)

*  フリー百科事典ウイキペデイア

 

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