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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2015年4月 3日 (金)

薬用ヤドリギは本当にがんと闘うことができるか? (2)

第175回目の話題:薬用ヤドリギは本当にがんと闘うことができるか?

(2)”です。米国植物協議会  The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC  HerbalEGram2014年12月号)のリンク記事の翻訳記事の解説です。

http://cms.herbalgram.org/heg/volume11/December2014.html

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写真:フリー百科事典ウイキペデイアより
 

 

 

 

 

 

1.セイヨウヤドリギとは

 セイヨウヤドリギ(学名:Victum album,英名:ミスルトウー)は、ヨーロッパおよび北アジアの落葉樹に半寄生性する常緑植物で、ケルトやゲルマンの樹木神話でも大きな役割を担っています。欧米では 記事にもあるように「ヤドリギの下では、男の子が女の子にキスをしてもいい」という習慣があるそうですが、これはスカンジナビアの伝説からきているといわれています。その伝説によれば、“ヤドリギの矢で殺された平和の神バルドルを他の神々がよみがえらせた。ヤドリギはその後、愛の女神に委ねられその下を通るものはだれでもキスを受けなければならないという習慣ができた。”とされています。

 セイヨウヤドリギは、アメリカでクリスマス飾りに使用されるアメリカヤドリギとは異なります。何世紀もの間、セイヨウヤドリギは、伝統療法においてけいれん発作、頭痛、その他の症状の治療に使用されてきました。現代では、主にヨーロッパでがんの治療に使用されています。

 英国王立園芸協会のハーブ大百科には以下の記載があります。

「<特徴>ツンとする、苦甘い、加温性のハーブで、血圧降下、免疫機構の刺激、心拍低下、鎮痙、鎮静、利尿、抗癌効果がある。

<薬用>軽い高血圧、動脈硬化、神経性頻脈、神経緊張、舞踏病、癌(特に肺と卵巣)に内服する。外用薬として関節炎、リウマチ、しもやけ、下腿潰瘍、静脈瘤潰瘍に有効。高い高血圧にはホーソン、レモンバームと、動脈硬化にはイチョウ、ペリウインクルと合わせるとよい。有資格の専門家のみが行なうこと。」

 セイヨウヤドリギの葉状の新芽や果実からの抽出物は、経口摂取することができます。

 抗癌治療の分野での使用は、1920年以降の人智学者のルドルフシュタイナーにより研究し普及されたものです。現在ではセイヨウヤドリギを発酵させたイスカドールなどの製剤が製造されています。ヨーロッパにおいては、セイヨウヤドリギの抽出物は注射で投与される処方薬です。米国では、セイヨウヤドリギの注射は臨床試験でのみし使用されています。

2.現代の研究

 基礎研究で、セイヨウヤドリギは、がん細胞を死滅させ、免疫系を活性化することがわかっています。

がん治療のためのセイヨウヤドリギの使用については、ヨーロッパで30以上の臨床試験が行われています。生存率や生活の質(QOL)の改善が報告されていますが、ほぼすべての試験のデザインにおいて、研究結果に疑いを生じさせるような重大な欠点がありました。例えば、多くの試験は参加者数が少ない、あるいは対照群がないことなどです。

ドイツ薬草委員会 (ドイツEコミッション)では、承認されたハーブに分類されており、以下のように記載されています。

 使用; 皮内注射によって引き起こされた局所的な炎症に続く皮膚内臓反射刺激による関節の退行性炎症を治療するために。非特異的な刺激を介して悪性腫瘍に対する緩和療法として。

 禁忌: タンパク質の過敏症、慢性進行性の感染症、例えば結核。

 副作用:悪寒、高熱、頭痛、急性扁桃腺炎、起立性循環障害やアレルギー反応。

 他の薬剤との相互作用:知られてない。

 服用量:他の処方がない場合。製造元の指示に従って。

 適用方法:新鮮な植物、注射用溶液の調合品のためのカットまたは粉末ハーブ。

 作用:皮内注射は壊死に進む局所的炎症を引き起こす可能性がある。

 動物実験では細胞増殖抑制、非特異的免疫刺激。

 注:血圧降下作用と軽い高血圧症(境界高血圧症)の治療効果は、さらなる調査を必要とする。

 3.安全性

厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』 「統合医療」情報発信サイト には、

 「生で未加工のセイヨウヤドリギは有毒です。生で未加工のセイヨウヤドリギあるいはアメリカヤドリギを食べると、嘔吐、けいれん発作、心拍数低下、さらには死をもたらすことさえがあります。アメリカヤドリギを薬用に用いるのは危険です。ドイツなど、セイヨウヤドリギ抽出物の注射を広く使用できる国では、セイヨウヤドリギエキスを医療スタッフの監督下で添付文書に従って使用する場合に限り、一般的に安全とみなされています。」

との記載がありますが、独立行政法人食品健康•栄養研究所の「健康食品」の安全性•有効性情報では以下のように記載しています。

•経口で少量摂取する場合には、恐らく安全と思われるが、治療域が狭いので、多量に摂取すると発作や血圧の低下、頭痛などが起こる可能性がある。

・妊婦が使用すると流産する恐れがあるので、使用を避ける。

・授乳婦が使用することは、安全性が不十分であるので、避ける。

・  高齢者が使用する際は、特に血圧に注意する必要がある。

  メデイカルハーブ安全性ハンドブックでは、クラス2d(タンパク質か敏捷やエイズのような慢性の進行性伝染疾患には禁忌。定められた用量を超えないこと)に分類されています。

カナダにおいては、規制により本品を食用として使用することは禁止されています。日本では、枝葉梢・茎・葉は医薬品 です。更なる検証が必要とされています。

                                記、 阿部俊暢  参考資料

*  英国王立園芸協会 ハーブ大百科

*  メデイカルハーブ安全性ハンドブック

*  メデイカルハーブの事典:林真一郎編

*  厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』 「統合医療」情報発信サイト

*  独立行政法人食品健康•栄養研究所「健康食品」の安全性•有効性情報

*  American Botanical Council “The Commission E Monographs”

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