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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2015年2月

2015年2月14日 (土)

アーモンド利用についての暗い側面(2)

ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のための海外ハーブ事情

第171回目の話題:アーモンド利用についての暗い側面(2)”です。前回の米国植物協議会  The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC  HerbalEGram2014年9月号)のリンク記事の翻訳記事です。

http://cms.herbalgram.org/heg/volume11/September2014.htm1

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写真:フリー百科事典ウイキペデイア 英語版より

 

1.      アーモンドについて

 アーモンド(英名:Almond、学名: Prunus dulcis、同義語:Amygdalus dulcis)は、バラ科サクラ属の落葉高木、およびそれから採ったナッツのことです。和名はヘントウ(扁桃)です。中東の地中海性気候の地域から、はるか東のインダス川流域が原産と考えられており、古代より人間によって地中海沿岸にそって北アフリカと南ヨーロッパに拡散しました。より最近では世界の他の地域、特に米国のカリフォルニアに広がり、現在ではアメリカ合衆国のカリフォルニア州が最大の産地です。日本では小豆島などで栽培されています。

 アーモンドは、高さ4-10m(13〜33フィート)、幹の直径が最大30cm(12インチ)に成長する落葉樹です。その若い小枝は最初緑色で、日光にさらされる場所は紫色になり、その後2年目にはグレーになります。葉は7−12cm(3〜5インチ)の長さで、鋸歯状の縁と2.5cm(1インチ)の葉柄を持っています。花は白からピンクで直径3-5cm(1-2インチ)、5枚の花びらを持ち、単独またはペアでつき、春先に葉の前に現れます(日本ではサクラと同時期)。アーモンドは、植付け後、3年目に経済的な収穫を持ち始め、樹木は植付け後5〜6年で完全な状態に達します。果実は開花後7-8ヶ月、秋に成熟します。

 アーモンドの果実は、長さ3.5〜6cmで、皮、果肉、核、仁からなっています。このうち食用に供しているのは仁の部分で、果肉は薄いため、食用にはなりません。果肉と種子の殻を取り除いた仁(生アーモンド)を炒って、もしくは揚げて食用とします。

 

2.サクラ(Prunus)属について

 サクラ属はバラ科にの属で、落葉あるいは常緑の高木および低木430種があり、その大半は温帯北部や南アメリかに分布しています。花の鑑賞や果実の利用で重要な種類が数多くあります。サクラ、アンズ、ウメ、モモ、スモモ、プルーンなどよく知られた果物はこの属に含まれます。

 多くの種類が薬用でも使用され、皮膚軟化オイルから咳止め、緩下剤までさまざまな治療効果のある成分が含まれています。特に中国種は古くから使用されており、Prunus armeniaca(アンズ)、Prunus mume(ウメ)が処方書に記載されたのはAD500年代とされています。これら大部分の薬用成分はアミダグリン、プルナシンに起因しています。これらは水の中で分解すると猛毒のシアン化水素酸(青酸)になりますが、少量使用すれば呼吸器系を刺激し、消化機能を改善し、幸福感をもたらします。

 

3.スイートアーモンドとビターアーモンド

 アーモンドには、スイート種(甘扁桃)とビター種(苦扁桃)があり、食用にされるのはスイート種です。果肉と種子の殻を取り除いた仁(生アーモンド)を炒って、もしくは揚げて食用とします。そのまま塩味をつけて食べるほか、スライスしたり粉末にしたものを料理(コルマなど)や洋菓子(フィナンシェ、マカロン、アマレッティ、ヌガー、マルチパンなど)の材料にします。種子を水につけてからアーモンドミルクを絞って飲料とすることもあります。

 アーモンドの種子から絞ったアーモンドオイルは、料理に使われる他、マッサジーオイルとしても用いられています。

 ビターアーモンドには青酸化合物であるアミグダリンが多く含まれるため、味が苦く、大量に摂取すると有毒です。鎮咳・鎮痙などの薬用、ベンズアルデヒドを多く含むため着香料、ビターアーモンドエッセンス、オイル(苦扁桃油)の原料として用いられています。

 

 

4.アミダグリン

 アミグダリン (amygdalin - C20H27NO11) は、青酸配糖体の一種です。レートリル (laetrile) とも呼ばれています。主にウメ、アンズ、モモ、ビワなどのバラ科植物の未成熟な果実や種子、葉などに含まれています。アミグダリンそのものには毒性はありませんが、加水分解されると猛毒のシアン化水素(青酸)を発生します。

 アミグダリン分解産物のベンズアルデヒドは独特の芳香をもつため広く利用されています。また漢方薬の咳止めの有効成分としても研究されています。

一方その中毒の危険性が指摘されており、国立食品栄養研究所の「健康食品の安全性•有効性情報」には以下の記載があります。

 “サプリメント等により重篤な健康障害を起こした事例が複数報告されている。米国のFDA (食品医薬品局) は米国内でのアミグダリンおよびレートリルの販売を禁じている。アミグダリンは果実の成熟に従い消失し、また梅干しや梅酒、梅漬けなどの加工はアミグダリンの分解を促進すると言われている。そのため、通常の食品に残存しているアミグダリンの影響は問題にならないと考えられる。”

 

 

5.アーモンドの生産

 食糧農業機関によれば、2011年の世界のアーモンド生産は2百万トンであり、そのうち最大の生産国の米国は73万トンです。2013年のニュース記事によれば、米国が世界の供給の80%以上を生産していると示逡しています。

 米国では、生産はカリフォルニアに集中しており、アーモンドはカリフォルニア州の第3番目の主要農産物で、2008年の米国の農業輸出物のトップであり、米国での商業供給の100%を占めています。米国は、アーモンドの圧倒的なな供給者となっています。 2011年には、米国は28億ドル相当の約637,000トンを輸出しています。

 

6.カリフォルニア州の干ばつの現状

 2013と2014年に、カリフォルニアの環境問題は、アーモンドの供給に影響を与え、世界的なアーモンド価格上昇を招いたとされています。2014年5月のロイター通信の記事によれば、カリフォルニア州は3年連続での干ばつになっています。非常に憂慮すべき状況のようです。

 以下記事抜粋

 

[サクラメント(米カリフォルニア州) 19日 ロイター] - 米専門家らがこのほどまとめたカリフォルニア州の干ばつに関する調査結果によると、3年連続となる干ばつにより数千人の職が失われ、穀倉地帯であるセントラル・バレーの農場にもたらされる被害は総額17億ドルに達する見込み。

 

カリフォルニア州は米国で最も人口が多い。一部の小規模自治体では飲料水が枯渇するリスクが発生しているほか、50万エーカー前後の土地が作付け不能となっており、当局者らは壊滅的な状況としている。

 

カリフォルニア大学デービス校のリチャード・ホウィット農業・資源経済学部名誉教授は「農業と飲料水に関する実態を政策担当者に伝え、農業従事者および農業地域に干ばつが及ぼしている影響を理解してほしい」と述べた。

 

調査では、干ばつにより作付けが不可能となることで、1万4500人のフルタイムおよび季節労働者が失職するほか、作付けも収穫も減少する見通し。

 

入手可能な農業用水は必要量の3分の2にとどまり、サンホアキンバレーだけで41万エーカーの作付けが行われない可能性があるという。

 

カリフォルニア州農業事務局連盟のスポークスマンは「どのくらい悲惨な状況になるのかについて、誰もが情報を得ようとしている」と述べた。同氏によると、一部地域では井戸からの地下水汲み上げなどが模索されているが、調査では装備設置に4億4800万ドルの追加費用が必要との結果が出ている。

 

7.アーモンドの授粉について

 カリフォルニアのアーモンドの受粉は、世界で最大の年次処理受粉イベントであり、2月のアーモンド果樹園にほぼ100万の蜜蜂の巣箱(米国内のすべてのミツバチの巣箱のほぼ半分)がトラックで運ばれているといわれています。受粉の多くは契約受粉ブローカーによって管理され、彼等はこのイベントのために少なくとも49州の移住性の蜂家と契約しています。アメリカでは、アーモンドからズッキーニに至るまで100以上の農作物の商業的生産がミツバチの媒介に依存していると言われています。このビジネスは蜂群崩壊症候群の影響を受けており、ミツバチの全国的な不足を引き起こし、大きな問題となっています。昆虫受粉のコスト上昇からアーモンド栽培農家の影響を軽減するために、農業研究サービス(ARS)の研究者は、自家受粉アーモンドの品種を開発しています。              

                         記 阿部俊暢

 

参考

 

*  フリー百科事典ウイキペデイア 英語版、日本語版

*  牧野和漢薬草大図鑑

*  英国王立園芸協会 ハーブ大百科

*  ロイターWebページ

*  独立行政法人国立健康•栄養研究所Web 健康食品」の安全性•有効性情報