トマトの錠剤」は、心血管疾患を有する患者における血管の機能を改善する (1)
第156回目の話題:“「トマトの錠剤」は、心血管疾患を有する患者における血管の機能を改善する
(1)”です。米国植物協議会 The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC HerbalEGram2014年6月号)のリンク記事の翻訳記事です。
http://cms.herbalgram.org/heg/volume11/June2014.html
写真;フリー百科事典ウイキペデイアより
「トマトの錠剤」は、心血管疾患を有する患者における血管の機能を改善する
日付:
2014年6月9日
出典:ケンブリッジ大学
概要:
新たな研究によれば、トマトで作られる抽出物によるデイリーサプリメントは、心血管疾患を有する患者における血管の機能を改善する可能性がある。果物、野菜、オリーブオイルのより多くの摂取からなる「地中海式食事」は特に心臓血管の発生率の減少が目立つ。最近の栄養の研究は、この食事が、高い心血管リスクをもつ、または以前にこの病気を持っていた患者において、心臓発作や脳卒中などの疾患に関連した事象の発生率を減少させることを示唆している。
ケンブリッジ大学の新しい調査によると、トマトに見られる抽出物のデイリーサプリメントは、心血管疾患を有する患者における血管の機能を改善する可能性がある
心血管疾患の発生率は世界的に変化するが、特に南ヨーロッパでは低下している。そこでは、果物、野菜、オリーブオイルを多く摂取する“地中海式食事”が優勢である。最近の食事の研究は、この食事が、高い心血管リスクのある患者または以前この病気を持っていた患者において、心臓発作や脳卒中などの疾患に関連した事象の発生率を減少させることを示唆している。
このリスクを減らす役割を果たすと考えられている地中海式食事の1つの構成要素は、ビタミンEより10倍も効力がある強力な抗酸化物質であるリコピンである。リコピンはトマト及び他の果物に見られ、その効力は、オリーブオイルの存在下でピューレまたはケチャップとして消費されれば、より強められると考えられている。心血管リスクを減少させるリコピンの役割を支持する強力な疫学的証拠がある一方で、それによるメカニズムは明らかではない。
PLOS Oneジャーナルで発表された研究では、ケンブリッジ大学とケンブリッジ大学病院国民保健サービス財団の研究者らが、彼らがリコピンがリスクを減少すると考えている1つのメカニズムを実証した。 Addenbrooke病院の臨床薬理学者で医師、およびケンブリッジ大学の准講師であるジョセフCheriyan博士、は言う: "地中海式食事- その成分として、トマトや他の果実に見られるリコピンを含んでいる- が、 私たちの心臓血管の健康に良いことを示逡している研究は豊富に存在しています。しかし、これまでのところ、その根本的なメカニズムは何であるかは謎でした。"
研究者らは、無作為化、重盲検、プラセボコントロール、調査介入試験を実施し、前腕血流と呼ばれる血管の機能を測定するゴールドスタンダードな方法でリコピンの影響を調査し、将来の心血管リスクを予測した。36人の心血管疾患患者および36人の健康なボランティアは、Ateronon(リコピン7mgを含む既製サプリメント)またはプラセボ治療のいずれかが与えられた。二重盲検試験として、研究参加者も薬を分配する研究者のいずれが提供された治療法を知らなかった。
心血管疾患を有する患者は、すべてスタチン(コレステロール低下薬)を使っていた。しかし、これにもかかわらず、健常志願者と比較して–彼等は依然として、内皮機能 血管の内側のライニング-が比較的に損なわれていた。この機能は、天然に存在するアセチルコリンという分子に対する前腕の血管の応答によって決定される。内皮機能は、将来の事象を予測するため、健康な内皮細胞を有することは、心臓病の発生を防止する上で重要な因子である。
研究者は、健常者ではなく、患者において、7mgの経口リコピンサプリメントが、内皮機能を改善し正常化させることをみいだした。リコピンは、プラセボを摂取した人のための補正後のピルの服用でのベースラインと比較して半分(53%)以上の血管の拡張を改善した;血管の狭窄は、心臓発作や脳卒中につながる可能性がある重要な要因の一つである。しかし、サプリメントは、血圧、動脈硬化や脂質レベルには影響を及ぼさなかった。
“私たちは、リコピンが心血管疾患患者における血管の機能を改善することを非常に明確に示しました。“Cheriyan博士は付け加えた。 ”そのことは心臓病や脳卒中のリスクのある人において健康的な食事の必要性を強調しています。毎日の“トマトの錠剤'は他の治療法に代わるものではありませんが、しかし、他の薬と一緒に摂取した場合付加的な効果を提供する可能性があります。しかしながら、私たちは、心臓病を減少させることができるかどうかはお答えできまん。- このことについては、より慎重に結果を調査するためにはるかに大きな試験が必要です。”
英国心臓財団の准メディカルディレクターであるジェレミーピアソン教授、は言う:“そこなわれた内皮機能は、将来の心臓病のリスク増加の既知の予測因子です。小規模な研究で見られる有益な効果が、リスクのある患者のための臨床的有益性につながるかどうかを理解するためにはさらなる研究が必要です。"
原文は以下を参照のこと。
http://www.sciencedaily.com/releases/2014/06/140609205652.htm
記、訳 阿部俊暢
コメント