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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2014年4月

2014年4月10日 (木)

カバが肺ガンを防ぐ助けになる可能性があると大学の研究者がいう(2)

ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のための海外ハーブ事情

第141回目の話題:“カバが肺ガンを防ぐ助けになる可能性があると大学の研究者がいう(2)”です。米国植物協議会  The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC  HerbalEGram2014年1月号)の記事を翻訳してご紹介しています。今回は前回の翻訳記事の解説です。

http://cms.herbalgram.org/heg/volume11/January2014.html

 

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フリー百科事典ウイキペデイア英語版より

 

 前号より続く。

 今回の記事の主題であるカバは、コショウ科の植物であるPiper methysticum 、又は、この植物の粉砕根から作られた太平洋の島々の飲料をさします。カバ飲料は推定3000年の歴史を持っており、社会的な飲料および儀式の献酒として太平洋の島々の文化で重要な飲料として使用されています。

 またカバは、その神経を穏やかにし、リラクゼーションと睡眠を引き起こし、疲労と戦うためのその代表的な用途の他に、急性および慢性の淋病、膣炎、白帯下、夜尿症および被尿生殖器官の他の病気の治療などについての価値が見いだされ利用されてきました。

 近年では、カバのサプリメントはストレスや不安を軽減するサプリメントとして広く知られるようになり、アメリカでは特に人気となっています。一方、肝障害との関連性が指摘され報告が相次いでいることから、スイス、ドイツ、カナダ、イギリスでは販売が禁止され、アメリカでは危険性が勧告されています。

 日本では、戦前淋病の薬と使用されてきた歴史があり、「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」に区分されており、健康食品としての販売は禁止されています。

 今回の研究は、そのなにかと話題のカバの根や根茎から作られた特定の製剤についての抗癌剤としての新しい利用の可能性を示唆しており、注目が集まっています。

 

 1.カバ(Piper methysticum)とは

 カバは南太平洋諸島原産のコショウ科コショウ(Piper)属のつる性常緑低木で、高さ3 mほどに生長します。その根は太く、生のときは柔らかい木質で、乾燥すると硬くなります。みずみずしい太い茎は強く腫れた節を持ち、その色は緑色から黒まで様々です。刺激性の苦味があり、長さ約15〜20cmの大きい、滑らかな、明るい緑の、ハート型の葉をもっています。カバは、小さな花穂を生成しますが、無味乾燥です。植物は根を分けることによってふやす必要があります。花は目立たないわずかに黄緑色の花穂を生成します。使用可能な効力に達するためには最低2〜3年間成長する必要があります。

 カバはハワイに到達した初期のポリネシアの航海者によって、彼らのセーリングカヌーによりハワイにもたらされた植物の一つです。今では野生でも成長し、また太平洋諸島全域で栽培が増加しています。一定の水分と部分的に日光がある低標高のところでこの植物はよく育ちます。 '1ダース以上のカバの品種が、昔のハワイでは知られています。

 

 2.先住民の習慣

 ハワイでは、昔は首長と祭司たちがカバの主要ユーザーであったといわれていますが、より最近では、それはすべての人々によって利用されています。激しい作業を行う人々は、特に筋肉のこわばり、緊張と疲労のための軽減のためにその特性を高く評価しています。 カバは疲れた農家、漁師、ハンターとパドラーにとっての筋弛緩剤です。精神的な指導者たちは、カヌーレース協議会の後の儀式などの指定された時刻に儀式的にカバを使用しています。それは社会的な伝統であり、人々の生活の中でのイベントやお祭りの前後両方での神への感謝の贈物です。

 カバで作られた伝統的なハーブドリンクは、フィジー、サモア、トンガの社会ではまた重要な役割を果たしており、それは儀式で、訪問者を称え、参加者を団結させ、彼らの社会的アイデンティティを検証するために飲まれています。カバは魅惑的な飲み物、または薬として高く評価されています。特に南太平洋の島々では、カバはまた鎮静剤であり、祈り、同様に喜びの感謝のための神聖な植物として使用されています。それは他の人、他の要素との通信チャネルを開くのに役立っています。

 カバは、レクリエーションや社交的な集会で見ることができます。それは高位の首長や長老たちのために社会的な飲み物として用いられ、名誉ある来賓の歓迎の一形態として飲まれ、地位を確認し、出生、結婚、死亡などの儀式や、仕事の準備と完成のために消費され、ストレス、病気などを和らげます。ハワイでは、カバは、予言式典、 1歳の子どもの命名式、男の子の神聖式、または伝統的なフラと詠唱での若い女の子の入会式中に飲まれています。

 カバは、社会的儀式で重要な役割を持っています。それは、通常、名誉のある訪問者を歓迎するための唯一の方法です。元ファーストレディの·ジョンソン夫人は、太平洋への訪問時に、教皇ヨハネ·パウロ二世と同様にそれを飲みました。

(ターナー、ジェームズW. 1986年 生命の水: カバの儀式と生贄のロジック)

 

 3.カバの薬用利用

 カバは、オセアニア中で、神経を穏やかにし、リラクゼーションと睡眠を引き起こし、疲労と戦うために使用されてきました。また、尿路の詰まりを取り、体重を減らし、喘息やリウマチを和らげるために飲まれてきました。カバを飲むことは、頭痛、痙攣のために良いことであり、そして梅毒や淋病を治すと考えられています。多くの島民は、カバは強さを回復し、胃の痛みをなだめ、できものなどの病気を治療すると信じています。つぶされた根を飲むことに加えて、一部の人々はカバの葉を使用しています。葉での燻蒸は、一般的な病気を治療すると信じられています。伝統的な方法でそれを飲むことが治療の中で最も一般的な方法ですが、他の治療の方法では、柔らかくしたカバ、同様に咀嚼したカバの残片を外用します。

 カバは、125年以上にわたり、急性および慢性の淋病、膣炎、白帯下、夜尿症および被尿生殖器官の他の病気の治療の価値が見いだされてきました。これは局所的な作用ではコショウに似ています。英国王立園芸協会のハーブ大百科には以下のように記載されています。

<特徴>

苦く刺激性の強い、加温性のハーブで、ライラックの香りがする。利尿、鎮痛、鎮痙、循環器系、神経系の興奮作用がある。

<薬用>

泌尿生殖器感染症、胆嚢機能不全、関節炎、リューマチに内服する。外用薬として関節炎に有効である。妊娠中に使用してはならない。過剰摂取は意識混濁を起こす。

 日本でも、戦前は淋病の薬として使用された歴史があります。

 

 ドイツEコミッション(ドイツ薬草委員会)のモノグラフでは承認されたハーブに分類されています。ヒトでの有効性については“抗不安”に対してのみ有効性を示唆しており、以下のように記載しています。

作用:抗不安

*動物実験で、麻酔作用の増強(鎮静)、抗痙攣、鎮痙、中央の筋弛緩効果が記載されている。

使用:神経不安、ストレス、落ちつかない状態。

 

4.主な成分・性質

 16種類のカバラクトン (kava-lactones) が同定されています。主要なカバラクトンは、メチスチシン (methysticin)、ジヒドロメチスチシン (dihydro methysticin) 、カバイン (kavain) 、ジヒドロカバイン (dihydrokavain) 、ジメトキシヤンゴニン (dimethoxyyangonin) 、ヤンゴニン (yangonin) などです。(PMID:15313185) 。

 

5.安全性

 肝障害との関連性が指摘され、報告が相次いでいることから、スイス、ドイツ、カナダ、イギリスでは販売が禁止され、アメリカでは危険性が勧告されています。アメリカではサプリメントとして販売されていますが、米国ハーブ製品協会(AHPA)は、クラス2b:妊娠中に使用しないハーブ、2c:授乳期間中に使用しないハーブ、2b:特定の使用制限のあるハーブに分類しています。

 日本では全草が「専ら医薬品として使用される成分本質 (原材料) 」に区分されており、健康食品としての販売は禁止されています。

ドイツEコミッションのモノグラフには以下のように記載されています。

•禁忌:妊娠、授乳、内因性うつ病。

•副作用:知られていない。

 注:拡張された連続的な摂取は、皮膚、髪、爪の一時的な黄色の変色を引き起こす可能性がある。 このケースでは、この薬のさらなる適用を中止しなければならない。 まれに、アレルギー性皮膚反応が発生する可能性がある。 また、瞳孔の拡大や眼球運動平衡の障害などの調節障害が、記録されている。

 

•他の薬剤との相互作用:

アルコール、バルビツール酸系催眠薬と精神薬理剤などの中枢神経系に作用する物質との相乗効果の可能性がある。

 

•投与期間:

医師の診察なしで3ヶ月以上使用しない。

注:たとえその所定の用量内で投与する場合でも、このハーブは運転および重機操作の運動反射と判断力に悪影響を与える可能性がある。

 

                           記 阿部俊暢

 

参考資料

*  The National Tropical Botanical Garden (NTBG)Webサイト

*  フリー百科事典ウイキペデイア 日本語

*  フリー百科事典ウイキペデイア 英語版

*  米国植物協議会  (The American Botanical Council)Webサイト

*  英国王立園芸協会ハーブ大百科

*  牧野和漢薬草大図鑑

*  独立行政法人国立健康•栄養研究所の「健康食品」の安全性•有効性情報web

*  メデイカルハーブの事典:東京堂出版

*メデイカルハーブ安全性ハンドブック