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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2013年10月

2013年10月27日 (日)

南アフリカの伝統的な幸福の丸薬(2)

第106回目の話題:“南アフリカの伝統的な幸福の丸薬(2)”です。米国植物協議会  The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC  HerbalEGram2013年9月号)のリンク記事の解説です。

http://cms.herbalgram.org/heg/volume10/September2013HEG.html

Sceletium_tortuosum_01102003_afriqu

Description          

Sceletium tortuosum

 

(en) Sceletium tortuosum, a photography originating of the internet site http://sophy.u-3mrs.fr/. The accord of the autor, H. Brisse, is here.

(fr) Sceletium tortuosum, une photographie issue du site internet http://sophy.u-3mrs.fr/. L'accord de l'auteur, H. Brisse, se situe ici.

Date       26 July 2007

Source    from the aforementioned site

Author   H Brisse (upload by Abalg)

Permission

(Reusing this file)              

Accord H. Brisse

 

 前回より続く。

 今回の記事の植物である、Sceletium tortuosumは、一般的にはKanna(カンナ)の名でよばれている南アフリカ原産の多肉植物です。ヨーロッパでは抗うつ剤として使用されているようですが、日本ではほとんど知られていないようで資料を見つけることができませんでした。和名での記載もみつけることができませんでした。今回は、South African National Biodiversity Institute's plant informationのWebページの情報を翻訳してご紹介します。

 

http://www.plantzafrica.com/plantqrs/scelettort.htm

 

 Sceletium tortuosumは西洋世界に知られている最古のmesembs(著者注:調べましたが日本語の訳がみつかりませんでした。)の一つである。17世紀に早期のケープ入植者に知られるようになり、 1732年以来、イギリスで栽培されている。この植物がカール·フォン·リンネにより、最初に記述され、ラテン語の二項名を与えられたのは 1753年である。民間療法で植物を使用していた南アフリカのコイサン*1の人々が、西洋の世界にこの気分を上昇させる植物を紹介した。近年では、 Sceletium tortuosumからの調合薬は、不安を軽減するための抗うつ剤として商品化されている。この植物は商業的に大規模に栽培されているが、野生のSceletium種の収穫には、多大な保全圧力が存在する。

 

概説

 植物はつる性または這性である。細い枝は年齢とともに太くなり、少しだけ木質化する。尖端部が再カーブして、3〜5の主要な静脈をもつ葉には、水細胞が顕著である。花は非常に短い小花柄(かへい)(ほぼ無柄)を持ち、(直径20〜30mm )のMサイズである。花びらは白から、淡黄色、淡いサーモンや淡いピンクである。萼は4または5枚のがく片を持っている。果実は直径10〜15mmであり、濡れた時に開く( hygrochastic ) 。種子は、内側に湾曲した尖端をもつ瓦(かわら)状に重なった葉によって容易に区別される。

 

分布、生息地&生態

 この種は、'絶滅の恐れはない'と考えられている。この植物は、ナマクアランドからモンタギューを通ってアバディーンまでの範囲に分布しており、一般にクオーツパッチで発生し、通常は半日陰の低木の下で生育しているのが見られる。この植物は昆虫受粉である。種子の散布は、ぬれると開くことにより種子が抜け落ちることを可能にするhygrochasticフルーツカプセルによって、降雨事象中に起こる。

 

名前の由来や歴史的な側面

 属名のSceletiumは、乾燥した葉に骨格のような構造として残る突起した葉脈を意味する、ラテン語のsceletusから派生している。属には8種が含まれており、主に雑草である亜属のMesembryanthemoideaeに分類される。この属は。スケルトンになって残る乾燥葉により容易に識別される。乾期には、これらの乾燥した葉は、過酷な環境条件から若葉を保護するようにそれらを囲む。 アフリカーンス語の一般名のkougoedの名前は、かむための何かを意味する。

 

用途と文化的側面

 Sceletium tortuosumはmesembrineおよび関連したアルカロイドのmesembranolとmesembranoneが含まれている。 Mesembrineは、中枢神経系への影響のために知られている。この化合物はまた、セロトニン取り込み阻害剤として作用し、指定された用量で抗うつ剤、マイナーなトランキライザーおよび抗不安薬として、軽度から中等度のうつ、不安が存在している心理的、精神的障害、重いうつ病の症状、アルコールや薬物依存症、神経性過食症、および強迫性障害にの治療に使用される( USPatent 6 288 104 ) 。

Smithら(1996)は、300年以上にわたって蓄積させたSceletiumに関するデータを再検討した:彼らは' Kougoed '調剤の民間に伝えられている方法を記録し、複数の被験者の経験を報告することにより、その向精神特性を文書化した。

 

Sceletium tortuosumの栽培

 

 Sceletium tortuosumは約3〜5年の寿命を持つ日和見性の種である。Succulent Karooの中の彼等の生息地の外で、 Sceletium tortuosum植物は簡単に栽培できる。制御された条件下では、浸透性の幾分ローム質の土壌を使用し、日当たりの良い窓辺に鉢植えを置いておくのがベストである。彼らの活発な成長は秋、冬と春に行われ、夏の間は休止期間で水を与えるべきではない。繁殖は、挿し木や種子による。種子は、いつも簡単に発芽するとは限らないのに対し、挿し木は、砂の中に容易に根を張る。自然の中で、 Sceletium tortuosumは一般的には灌木の下で見られ、その場所で、彼らは一日の少なくとも一部の時間良い日光を浴びることができる。窓辺では、十分な日光を浴びることができ、植物は容易に開花する(Van Jaarsveld, pers comm. )。

 

著者注

 今回の記事にも見られるように、先住民族が利用した薬用植物をとりあげて、製剤して商品化する手法は、近年の大きな流れです。この場合、伝統的に利用されてきた植物と、それを利用して作られた製剤の効果や安全性は果たして同じものなのかということが問題とされます。商品を開発した製薬会社の担当者は、その使用の歴史より安全性は明らかだと主張していますが、ハーブ薬の専門家は、その安全性には実証されたデータが存在しないと警告しています。今後の幅広い研究がまたれます。

 

                         訳、記 阿部俊暢

 

*1:コイサン人

サン人は、南部アフリカのカラハリ砂漠に住む狩猟採集民族である。かつて3000~2000年前くらいまでは、南部アフリカから東アフリカにかけて広く分布していた。しかし、バントゥー系の人々や白人の進出により激減し、現在はカラハリ砂漠に残っているだけである。

人口は約10万人[言語はコイサン語族。コイ人とは身体特性、言語、文化など著しく類似している。基本的に狩猟採集で生計をたてているのがサン人、牧畜で生計を立てているのがコイ人と区別する。

 

参考資料

*  フリー百科事典ウイキペデイア

*  South African National Biodiversity Institute's plant informationWebページ