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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2013年9月

2013年9月26日 (木)

ロージーペリウインクル:命を助ける植物 (2)

 ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のための海外ハーブ事情

第98回目の話題:“ロージーペリウインクル:命を助ける植物

(2)”です。前回の、米国植物協議会  The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC  HerbalEGram2013年7月号)のリンク記事の解説です。

 

http://cms.herbalgram.org/heg/volume10/July2013.html

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解説   

Common name: Periwinkle, Vinca. Hindi: Sadabahar. Malayalam: Shavam Naari. Marathi: Sadaphuli. Bengali: Nayantara Botanical name: Catharanthus roseus. Family: Apocynaceae (oleander family) Synonyms: Vinca rosea

 

Periwinkle is a happy-go-lucky small shrub. It cares not for the world. It rejoices in sun or rain, or the seaside, in good or indifferent soil and often grows wild. It is known as 'Sadabahar' meaning 'always in bloom' and is used for worship. Numerous soft-wood branches from the ground, give it an appearance of fullness. Closely planted it can have an impressive effect with its various colours. This is one flower which can be found all over India. Lots of cultivars have been developed with various colors, from red to white.

 

日付    2004年7月13日, 14:30:25

原典    投稿者自身による作品

作者    Biswarup Ganguly

今回の記事の植物、ロージーペリウインクルは、日本ではニチニチソウ(日々草)の名で知られており、夏から秋の花壇などで普通に見ることができます。記事にもあるように、植物の伝統用途の研究よりの開発から、最も成功した医薬品として知られています。

 

1.ロージーペリウインクルとは

ロージーペリウインクルは、一般にはニチニチソウ(日々草: Catharanthus roseus)と呼ばれ、キョウチクトウ科ニチニチソウ属の一年草です。初夏から晩秋まで次々に花が咲くので、「日々草」といいます。 マダガスカル島原産で、熱帯中心に、観賞用、薬用として各地で広く栽培されています。草丈30〜60cm。原種は小低木で、匍匐する傾向がありますが、観賞用に改良された品種は、一般には直立し軟毛があります。葉は対生し有柄、長楕円形で長さ2.5cm〜7cmです。花期は夏から秋で、葉えきに薄紫色、白色の花を少数つけます。

 

2.ニチニチソウ属

 マダガスカル原産の一年草と多年草8種が、この属に含まれています。C.roseus(マダガスカルペリウインクル)は、今や汎亜熱帯の雑草になっていますが、温帯地域では均整のとれた姿と、可愛らしい花のおかげで、室内用の植物や夏花壇の植物として栽培されています。75種類以上のアルカロイド*2を含有しており、単独では有毒ですが、白血病と治療に有効です。(英国王立園芸協会ハーブ大百科より)

 

 

3.ニチニチソウの薬用利用

 ニチニチソウには、「ビンカアルカロイド」総称される、10種以上のアルカロイドが、全草に含まれています。

 英国王立園芸協会ハーブ大百科には以下のように記載されています。 

 “Catharanthus roseus(ニチニチソウ)に含まれるアルカロイドの使用は、アメリカの製薬会社が薬用成分の開発にこの植物を選んだ1950年代に進んだ。この成分に白血球の減少作用があることが発見されたことで、ガン治療薬に大革命が起きた。単離したアルカロイドは猛毒で、植物全体を使った場合とはまったくその作用が異なる。

<利用部位>葉

<特徴>収斂性のハーブ。血糖値降下、発汗促進、子宮の刺激作用がある。

<利用法>西インド諸島では糖尿、モーリシャス、ベトナム、スリナムでは喘息、アフリカ、フィリピンでは月経の調整に内服する。単離したアルカロイドは、急性白血病(特に小児)、ホジキン病*1、その他の癌治療に使用される。副作用は吐き気、脱毛、骨髄機能低下。

 

牧野和漢薬草大図鑑には以下の記載がありました。

【薬用部分】全草( 日々草:ニチニチソウ)。8〜9月の全草を採取し乾燥する。

【薬効と薬理】ビンブラスチン、ビンクリスチンは、少量で癌細胞、腫瘍に対して増殖を抑制する作用があり、抗癌、抗腫瘍薬として用いられる。また毒性も強く、量が多いと嘔吐、白血球減少などを引き起こす。そのほは降圧、抗血糖、利尿作用なども報告されている。抗腫瘍以外に、便秘、消化促進にも用いられる。

【使用法】胃潰瘍、便通、消化促進に1回量3〜5枚の葉をするつぶし、水を加えガーゼで漉して服用する。毒性を防ぐため、1回量を増加させないことが必要。

【その他】日本では江戸時代から栽培されるようになった。

 

4.ニチニチソウの安全性

 記事には、医薬品の開発はジャマイカのペリウインクル茶から始まったとありましたが、メデイカルハーブ安全性ハンドブックにこの植物の記載があります。

 

使用部位:地上部

生薬名:チョウシュンカ(長春花)

クラス 3 以下のラベル表示を勧告する重要なデータが確認されているハーブ

「医療従事者の監督下でのみ適切に使用すること。」ラベルには、以下の適正使用情報を記載しなければならない。用量、禁忌、生じ得る有害作用および薬物との相互作用、ならびに本品の安全使用に関する他の関連情報。

注意:堕胎促進作用

 

5.新薬開発とバイオパイラシー(生物資源の盗賊行為)

 記事には、ニチニチソウからの医薬品開発は“バイオパイラシー(生物資源の盗賊行為)”の典型例だとあります。

 近年、新薬開発の効率をあげるために、先住民などの伝統的な植物の知識を利用することが盛んに行われるようになっています。そこで問題になっているのが、その研究成果からの利益が誰のものかということです。薬の開発の成果が一方的に先進国の製薬メーカーのものとなり、もととなった先住民や、彼等が住む開発途上国にはなんの利益にならないことがおき、バイオパイラシー(生物資源の盗賊行為)として大きな問題となっています。

 この問題を解決するために採択されたのが、2010年の名古屋議定書(生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書)です。

                

*1ホジキン病

 ホジキンリンパ腫(ホジキンリンパしゅ、英: Hodgkin's lymphoma; HL)は、悪性リンパ腫のひとつに分類される。

 

*2植物アルカロイドについて

 アルカロイド (Alkaloid) は窒素原子を含み、ほとんどの場合塩基性を示す天然由来の有機化合物の総称です。アルカロイドは、微生物、真菌、植物、動物を含む非常に様々な生物によって生産され、天然物(二次代謝産物とも呼ばれる)の中の一群を成しています。多くのアルカロイドは他の生物に対して有毒である。しばしば薬理作用を示し、医薬や娯楽のための麻薬としてや、幻覚儀式において使用されています。

 

                           記 阿部俊暢

 

 

 

参考資料

*フリー百科事典ウイキペデイア 英語版

*英国王立園芸協会 ハーブ大百科

*牧野和漢薬草大図鑑

*最新薬用植物学

*メデイカルハーブ安全性ハンドブック

*独立行政法人国立健康•栄養研究所:健康食品データベース