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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2013年6月

2013年6月30日 (日)

お茶の健康上の効果が、その人気を押しあげる(2)

ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のための海外ハーブ事情 第74回目の話題:” お茶の健康上の効果が、その人気を押しあげる(2)”です。米国植物協議会 The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC HerbalEGram2013年4月号)のワシントンポスト紙へのリンク記事の翻訳記事の解説です。 http://cms.herbalgram.org/heg/volume10/April2013.html

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解説       

English: Camellia sinensis, Kyoto city, Japan

日本語: チャノキ 京都市

日付        2009年10月9日

原典        Qwert1234's file

作者        Qwert1234

 

 

 前号より続く。

 独立戦争の発端となったあの有名なボストン茶会事件*1より、アメリカはコーヒーの国になったといわれていますが、今回の記事はそのアメリカで、健康上の効果によりお茶の人気が急上昇しているという前号の翻訳記事の解説です。

 

1.茶の木(Camellia sinensis )

 茶の木(Camellia sinensis )は、ツバキ科ツバキ属の常緑低木です。中国原産ですが、現在は、世界中の熱帯および亜熱帯気候の国で栽培されています。日本でも九州で野生化しています。植物は10m程度まで成長することが可能ですが、通常は2m以下に剪定されています。

 幹はその株からもよく分枝して、枝が混み合いますが、古くなるとさらにその基部からも芽を出します。若い枝は茶褐色ですが、古くなると灰色になります。葉は広皮針型か長楕円形で先端が尖っています。花は10-11月頃に咲き、枝の途中の葉柄基部からぶら下がるように白色の花をつけます。

 チャノキには日本茶や中国茶で主に使用されるCamellia sinensis var. sinensisと、アッサム茶のCamellia sinensis var. assamicaの2つの主な変種があり、たくさんの栽培品種があります。

 ツバキ(Camellia)属は、アジアに約100〜150種の常緑の低木と高木が分布しています。最も有名なのはチャ(Camellia sinensis)ですが、日本のツバキ(Camellia japonica)もまた同属の植物です。

 

 

2.栽培と利用の歴史

 

 伝説では、お茶は仏陀に起源を持つと信じられており、“仏陀が瞑想しながら眠りに落ち、目覚めた時彼は嫌悪感から彼の瞼を切った。茶植物は、彼のまぶたが落ちた場所から育ち、彼は弟子たちに自覚の贈り物を与えることができた。”と伝えられています。又、中国では伝説の皇帝の「神農」が紀元前2737年にチャノキが妙薬になると発見したと伝えられています。中国において茶の文化が体系化されたのは唐の時代(618年 - 907年)とされています。日本には、奈良時代(800年頃)に韓国を経由して渡来したといわれています。

 ヨーロッパに茶が本格的に紹介されたのは、1609年、オランダが日本の平戸に商館を設け、翌年、日本の茶がジャワ経由でヨーロッパに輸出されてからです。そのため、当初飲まれたのは日本の緑茶で、薬屋で量り売りされるほど高価なもので、聖職者が眠気覚ましの薬に用いたと言われています。18世紀半ばには、イギリスで「午後の茶」(アフタヌーン・ティー)の習慣が定着し、同じ頃、緑茶よりも紅茶が優勢となりました。茶貿易もオランダではなくイギリスが主導権をとり、中国産の茶がヨーロッパで主役となりました。中国貿易を独占していたのがイギリス東インド会社で、アヘン戦争や、アメリカ独立戦争の原因となったことはよく知られています。

 現在では、お茶は、水の次に世界中でもっとも広く消費されている飲料でもあり、製造工程により緑茶、ウーロン茶、紅茶などにわけられます。緑茶は現在でも世界でもっともよく飲まれている茶飲料です。

 国際的な茶の生産は、1993年から1995年平均の197万トンから1999年の270万tトンに増加し、国連食糧農業機関 (FAO) の統計によれば、2010年における世界の茶葉生産量は、約452万トンです。地域別では、アジアが生産量の約84%、アフリカが約14%、南北アメリカが約2%を占めています。上位5か国は中国、インド、ケニア、スリランカ、トルコです。

 国連食糧農業機関(FAO)によれば、クリーンテイーとブラックテイーの両方とも健康的なライフスタイルに大きく貢献する可能性があり、その定期的な使用を国際的に推進すべきであるという科学的証拠が増加しています。世界緑茶協会などの組織が作られており、茶の利用と知識を広め、緑茶の栽培、製造、消費での経済的利益を促進しています。

 

 

3.お茶の健康利用

 緑茶を多く飲む人は、さまざまな疾病にかかりにくいという疫学調査がきっかけとなって、単なる嗜好品というだけでなく、その健康効果がクローズアップされています。カテキン、タンニン、フラボノイド、カフェインなどの成分を含み、その含有量は茶の種類や製造法によって異なります。(例えばタンニン:緑茶22.2%、紅茶12.9%)。

 

 牧野和漢薬草大図鑑には以下の記載があります。

“茶に含まれるカフェインやテオフィリンは興奮性のアルカロイドで、疲労の回復や強心、利尿作用がある。ビタミンCは抹茶が最高で0.1%含まれ、日本人の飲食品中で高いC含有量を示している。”

“茶の渋には収斂作用があり、渋茶は下痢に効果がある。2煎以後の茶は口中のうがい、のどの腫れ、風邪の予防に活用される。また2煎以降の濃い煎液は湿疹、かぶれの冷湿布に用いる。野外での切り傷、すり傷の患部に冷えた水筒の茶で患部を洗えば止血に役立つ。緑茶が壊血病に効果があるのはよく知られている。”

 

一方、英国王立園芸協会のハーブ大百科には以下のように記載されています。

<利用部位>葉(新芽の尖端のみ)、オイル

<特徴>わずかに苦みのある、芳香、収斂性のハーブ。神経系等の刺激、利尿、殺菌作用がある。

<薬用>下痢、赤痢、肝炎、胃腸炎に内服する。過剰摂取は便秘、消化不良、目眩、動悸、興奮、不眠を起こす。外用薬として眼のただれ、軽い傷、虫さされに有効。

 

 お茶に関する最近の医学研究(そのほとんどが緑茶で行われている)は、抗癌の可能性、コレステロール値に対する効果、抗菌特性と減量のために肯定的な影響を含め、様々な健康上の効果を明らかにしています。お茶は、抗酸化物質の一種であるカテキンの高レベルの含有のために多くの肯定的な健康上の利点を持っていると考えられています。

 独立行政法人国立健康栄養研究所Webページによれば、経口摂取で有効性が示唆されているものには

1) 血中コレステロールおよびトリグリセリドの低下、

2) 血圧調節

3) 下痢の治療、

4) 認識能の向上

5) パーキンソン病の予防および進行を遅らせること

6) 食道がん、胃がん、膵臓がん、大腸がん、膀胱がん、卵巣がんの予防および乳がんの再発予防

7) 口内のロイコプラキー (粘膜の角化障害) の治療

8) 子宮頚部形成異常

などがあります。

 日本では、茶カテキンや茶ポリフェノールを関与成分とした特定保健用食品が許可されています。結腸直腸がんの予防に対しては有効でないことが示唆されています。

 

4.お茶の安全性

 お茶は、カフェイン、タンニンの過剰摂取などの健康上のいくつかの負の影響が存在する可能性があります。

 独立行政法人国立健康栄養研究所Webページには以下のように記載されています。

 ・緑茶および緑茶エキスは適量であれば経口摂取でおそらく安全と思われるが、多量の経口摂取はカフェインの副作用が出やすくなるので、危険性が示唆される。

・妊娠中・授乳中においては適量であれば緑茶の経口摂取は安全性が示唆されているが、多量摂取は危険性が示唆されている。緑茶カフェインは胎盤を通過し、早産や低体重児出生のリスクを高める報告がある。

・過剰摂取は便秘、消化不良、めまい、動悸、不整脈、興奮、不眠、頭痛、利尿、不安、胸焼け、食欲不振、下痢を起こす。

・  慢性的に長期間、特に多量に摂取していると、耐性、習慣性、精神的依存性が生じることがある。

 

メデイカルハーブ安全性ハンドブックでは以下のように分類されています。

 クラス2d-発酵させた紅茶の茶剤は、長期または過量の使用は不可。

 注意;神経刺激作用、タンニン*2

                            

                           記、 阿部俊暢   

 

*1ボストン茶会事件(Boston Tea Party)は、1773年12月16日に、当時のマサチューセッツ植民地(現アメリカ合衆国マサチューセッツ州)のボストンで、イギリス本国議会の植民地政策に憤慨した植民地人の急進派が港に停泊中のイギリス船に侵入し、イギリス東インド会社の船荷の紅茶箱を海に投棄した事件。アメリカ独立革命の象徴的事件の一つである。当時のアメリカでは、愛国派の女性が茶会をボイコットするまでになり、このことがアメリカでの紅茶の消費の少なさにつながっているといわれている。

 

*2タンニンは植物界全体に広く分布し、多くの様々な種の樹皮や根や葉や果実といった部分に存在する。タンニンを10%以上含むと報告されている植物だけが、タンニン摂取の潜在的副作用を議論する上で問題とされる。タンニンに関連した既知の副作用には肝臓での重篤な壊死状態の他に胃腸障害や腎臓障害などがある。

 

参考資料 

 

*  フリー百科事典ウイキペデイア(英語版、日本語版)

*  英国王立園芸協会 ハーブ大百科

*牧野和漢薬草大図鑑

*メデイカルハーブ安全性ハンドブック

*独立行政法人国立健康栄養研究所Webページ 

  「健康食品」の安全性有効性情報 

*健康データベース(独立行政法人国立健康•栄養研究所編)

*ABC(アメリカ植物評議会)」Webページ

*世界史を変えた50の植物