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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2013年5月

2013年5月26日 (日)

カナダの卓上甘味料で、モンクフルーツ(羅漢果)エキスの使用が許可される(2)

ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のための海外ハーブ事情
第68回目の話題:” カナダの卓上甘味料で、モンクフルーツ(羅漢果)エキスの使用が許可される(2)”です。前回の、米国植物協議会  The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC  HerbalEGram2013年4月号)の翻訳記事の解説です。
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Description           Dried Siraitia grosvenorii (luohanguo) fruit, cut open. Photo taken in Kent, Ohio with a Panasonic Lumix digital camera (model DMC-LS75). Siraitia grosvenorii fruit (produced in China) purchased from a Chinese supermarket in Cleveland, Ohio, United States.

Date       1 February 2008

Source    Own work

Author   Badagnani

前号より続く。

今回の記事は、モンクフルーツエキス(ラカンカエキス)がカナダで食品添加物として承認されたという話題です。販売されている食品には、様々な成分が添加されていますが、安全性の問題より使用できる添加物が決められています。世界各国・地域で共通の基準はなく、それぞれの国、地域で使用できる添加物が異なっているのが現状です。

 ラカンカエキスは日本では甘味料として認められており、アメリカでも、記事にもあるように「GRAS物質(長い食経験から一般に安全と認められる物質)」ですが、今回認可されたカナダのように、認められていない国もあるということです。この逆で他国では使用できるが、日本では認められていない物質もたくさんあります。

 現在は、インターネット等での取引が活発になり、個人でも世界中の人々との取引が可能になってきていますが、各国でのルールの違いを頭に入れておくことが重要です。

 

1.ラカンカ(羅漢果)について

 ラカンカ(羅漢果、学名:Siraitia grosvenorii、同義語:Momordica grosvenorii、中国語 ルオハングオ luóhànguǒ)は、中国南部と北部タイを原産とするウリ科ラカンカ属の多年生つる植物です。従来はツルレイシ(Momordica)属に分類されていたが、1984年になって学名が変更されたため、牧野和漢薬大図鑑には、モモルデイカ•グロスベノリイと記載されています。

 植物は、その果実のために日本、東南アジア諸国でも栽培されていますが、現在ほとんど野生のものはないと言われています。その抽出物は砂糖の約300倍甘く、中国では、天然の低カロリー甘味料として清涼飲料水、および、糖尿病と肥満の治療のために伝統的な中国医学で使用されています。

 植物の果実は、多くの場合英語の出版物では、luo han guo 、またはluo han kuo(中国語のluóhàn guǒ, 罗汉果// 羅漢果)と記載されており、また、 la han qua(ベトナム語の 羅漢果物 )、 アルハットフルーツ、ブッタフルーツ 、 モンクフルーツ 、または長寿の果実 (この名前は他のいくつかの果物のために使用されてきた)とも呼ばれています。

 亜熱帯の山岳地帯を好み、広西チワン族自治区の桂林の西南部に位置する永福県、融安県、臨桂県が主要な産地で、この3県の生産量が世界の約9割を占めます。

 つるは、接触するものには何にでも巻き付く巻きひげを使って他の植物を這い上って、3〜5メートルの長さを達します 。細い、ハート型の葉は 10〜20センチメートルの長さです。 果実は丸く、直径5-7 cmで、滑らかで、色は黄褐色または緑色がかった茶色であり、細かい毛で覆われた硬い、薄い皮を伴った果実の茎端からのすじの線紋をもっています。 果実の内部は食用の果肉を含んでおり、それは、乾燥すると、厚さが約1mmの薄い、薄茶色の、脆い殻を形成します。 種子は細長く、ほぼ球状です。

 果実は主に果糖やブドウ糖である、様々な炭水化物を25から38%含んでいます。 果実の甘さは、トリテルペン配糖体(サポニン)のグループである、モグロサイド により増加します。 5つの異なるモグロサイドは1〜Vまで番号が付けられており、主成分はesgosideとして知られていモグロサイドVです。

 最近の研究では、単離されモグロサイドは抗酸化特性を持っており、限定された抗がん効果をもつ可能性が示唆されています。モグロサイドはまた、試験管内で、エプスタイン·バーウイルスの誘導を阻害することが示されています 。

2.ラカンカの利用

 植物は、もっともその甘い果実のために、薬用での使用および甘味料として高く評価されています 。果物は一般に乾燥形態で販売され、伝統的に薬草茶やスープで使用されています。

 モグロシドなどの成分単体、あるいは羅漢果の抽出物についてその薬理作用の解析も行われており、すでに健康食品として販売されている場合もありますが、その具体的な薬効についてはまだ十分には解明されていないようです。

 中国においては、経験的に喉や肺を潤し、鎮咳作用があることが知られており、また、便秘解消の効果もあるとされています。

 牧野和漢薬草大図鑑には、以下の記載があります。

“羅漢果は鎮咳、解熱、緩下薬として感冒、百日咳などによる咳嗽、急性、慢性の気管支炎、扁桃腺炎、急性胃炎、咽喉痛、暑熱口渇、便秘などに用いられる”

3.ラカンカの安全性

 翻訳記事にもあるように、ラカンカは米国食品医薬品局(FDA)によって一般に安全と認められる (GRAS)階級として分類されています。

 日本では、ラカンカ果実は「医薬品的効果効能を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質 (原材料) 」に分類されており食品として使用されています 。また既存添加物:抽出物 (果実から得られたモグロシド類を主成分とするもの) は甘味料として食品添加物(既存添加物(365品目)に含まれています。

以前は「低カロリー食品」として特別用途食品となっている製品がありましたが、現在、特別用途食品に該当する製品はありません。

独立行政法人国立健康•栄養研究所Web 「健康食品」の安全性•有効性情報には以下のように記載されています。

“•通常の食品に含まれる量を摂取する場合はおそらく安全と思われるが、それ以上の量を摂取した場合の安全性については十分なデータがない。

・妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがないので、使用は避ける。“

4.食品添加物の規準

厚生労働省Webページ/食品添加物には、日本での食品添加物は以下のように記載されています。

 “食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるものです。

 厚生労働省は、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。“

食品添加物の種類(平成25年3月12日現在)

●指定添加物(432品目)

安全性を評価した上で、厚生労働大臣が指定したもの (ソルビン酸、キシリトールなど)

●既存添加物(365品目)

平成7年の法改正の際に、我が国において既に使用さ れ、長い食経験があるものについて、例外的に指定を受け る こ と な く 使 用・販 売 な ど が 認 め ら れ た も の( ク チ ナ シ 色 素、柿タンニンなど)

●天然香料(約600品目)

動植物から得られる天然の物質で、食品に香りを付ける 目的で使用されるもの(バニラ香料、カニ香料など)

●一般飲食物添加物(約100品目)  一般に飲食に供されているもので添加物として使用さ れるもの(イチゴジュース、寒天など)

*ラカンカ添加物は甘味料として既存添加物に記載されています。

 米国では「米国食品医薬品化粧品法」で定義付けられ、安全性と有効性についてFDA(米食品医薬品局)が認可した約600品目と「GRAS物質(長い食経験から一般に安全と認められる物質)」の約1千品目があります。

                       記 阿部俊暢

参考資料

*健康データベース(独立行政法人国立健康•栄養研究所編)

*独立行政法人国立健康•栄養研究所Web 健康食品」の安全性•有効性情報

*フリー百科事典ウイキペデイア:日本版、英語版

*牧野和漢薬草大図鑑(北隆館)

*厚生労働省Webページ/食品添加物