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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2013年1月

2013年1月 9日 (水)

研究者、ハーブの専門家が5年間のGuidAge臨床試験の結果を解釈する(1)

ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のための海外ハーブ事情

第44回目の話題:“研究者、ハーブの専門家が5年間のGuidAge臨床試験の結果を解釈する”です。米国植物協議会  The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC HerbalEGram201211月号)の記事よりお届けします。

http://cms.herbalgram.org/heg/volume9/November2012.html

 

 

研究者、ハーブの専門家が5年間のGuidAge臨床試験の結果を解釈する

 アルツハイマー病(AD)は、米国で6番目の主な死因であり、高齢者の認知症の最も一般的な形式である*1。国立老化研究所は510万人程度の米国人がADを持っていると見積もっており、専門家は、疾患の有病率は2050年までに4倍になると予測している*2,320129月、フランスの科学者のグループは、高齢、健康成人におけるアルツハイマー病の予防のための標準化されたイチョウ抽出物(Ginkgo biloba)の影響を評価する、長期のプラセボ対照臨床試験の最終結果を発表した。

 GuidAgeの研究は、知られているように、これまでのイチョウとAD予防に関する最大かつ最長の試験の一つであり、米国外で実行されるその種の最初のものである。標準化されたイチョウ葉エキスが、参加者がアルツハイマー病を発症するリスクを減少させなかったこと研究者が見いだした、といくつかの主要なマスコミが、研究のいくつかの欠点を考慮せずにサプリメントを服用してもメリットがないことを、誤って報告した*3

 "GuidAgeの結果が公表された後、いくつかのコメントが、この研究では、イチョウは認知症の治療に効果がないというさらなる証拠を提供することを指摘しました。 それらの人々は、おそらく予防と治療を混同しているのでしょう。 " 、試験で使用されたEGb761イチョウ抽出物を開発したドイツ、カールスルーエのDr. Willmar Schwabe GmbH & CoPhDの、薬剤師、ウォルフガング·ウェーバー博士は述べた。(電子メール、1019日)。注目すべきことに、EGb761は認知症の症状の治療のために、世界中の多くの国々で販売されている。

"GuidAge試験は、 アルツハイマー型認知症の予防試験でした。EGb761は治療薬として承認されています。 これは明らかに類似ではありません、"と、ウェーバー博士は語った。 "今日、ADの予防に効果を持っている成分はありません。しかし、たくさんの利用可能な異なる化合物(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤[AChE-I、例えば 、ドネペジル]、ビタミン剤、スタチン、非ステロイド性抗炎症薬、[])がその目的のためにテストされています。 それらのすべてが失敗しました。 "

イチョウとアルツハイマー病

 アルツハイマー病は、思考、判断、記憶などの認知のプロセスに加えて、行動や性格に影響を与える進行性の脳疾患である。 病気の正確な原因は不明であるが、それは 正常な脳の機能を混乱させまた脳細胞死を引き起こす凝集物またはプラークを形成する可能性がる、β-almyloid(βA として知られる特定のタンパク質断片の脳内蓄積が関与すると考えられている*4

 イチョウの主な有効成分のうち、特定のフラボン配糖体( 例えば 、ルチン、ケルセチン、ケンフェロール)とユニークなテルペンラクトン(ギンコライド、bilobalides)があり、抽出物の神経保護および抗酸化特性に寄与する。 動物モデルでは、それの抽出物または構成成分は、神経細胞新生を増加させ、神経可塑性を増強することが示されている*5,6。さらにそれは βA集合 7とβAの病的行動誘発*8を抑制する可能性がある。2008年米国をベースとしたイチョウについての記憶(GEM)評価の評価を含めて、多くの臨床試験で使用されてきた EGb761は、24%のイチョウフラボン配糖体と6%テルペンラクトンに標準化されている*9

 最近のGuidAge試験結果としてLancet Neurologyの同じ号に掲載されたゲストのコメントの中で、Lon S. SchneiderMD、南カリフォルニア大学(USC)のアルツハイマー病研究と臨床センターのディレクターは、EGb761 "現代のアルツハイマー病治療薬のための典型的な前臨床薬理学的特性をもっていた。 "と書いている*10

 イチョウ抽出物の有望な薬理学的特性にもかかわらず、GuidAge試験の知見は予想ほど堅牢ではなかった。 研究者たちは、最初にかかりつけの医師に記憶の問題を報告していた2854人の健常者を登録した。 研究の著者によれば、 "高齢者における主観的記憶愁訴は、自発的に医師に表明している場合は特に、認知症のリスク増加と関連しており、脳萎縮とアミロイド β沈着 にリンクされている ...ので、アルツハイマー病の予防を目的とした処置のためのターゲットになる可能性がある。"5 年後、毎日240 mgのイチョウ抽出物を摂取した1406は、毎日抽出し、味や外観に等しい、プラセボを服用1406人のうち61人、味と形が同等のブラゼボを摂取した1414人の参加者の73人がアルツハイマー病の可能性と診断され-統計学的に取るに足らない違いであった*3

GuidAgeトライアルでの潜在的な問題

 米国植物協議会に送られてきたGuidAgeトライアルについてのシュワーベの"事実と解釈"シートの中で、同社の科学者チームは、 このような大規模予防試験のための適切な研究集団を選ぶことはそれ自体問題である、と指摘した "アルツハイマー病の予防研究のための代表的な発端者[ すなわち、関連する遺伝的背景を持つ被験者]を見つけるということはきわめて挑戦的です。 遺伝情報を解析することにおいての今日の技術的な可能性にもかかわらず、それが定義された期間内に健常人でのアルツハイマー病発症の確率を予測することは事実上不可能です。 これは、すでに記憶障害を訴えている人にも当てはまります。 "

 ジェリーコット博士-米国食品医薬品局(FDA)の医薬品評価研究センターの薬理学者で毒物学者、センターの栄養補助食品小委員会の議長、および ABCアドバイザリーボードメンバーは、 彼自身に代わって言えば、イチョウエキストラクトの肯定的な前臨床試験のデータノ重要性を認めているが、試験の結果に驚いていないと述べた。

 "これが重要である理由は、前臨床データがイチョウには予防効果がある可能性があることを示唆しているかもしれないということです。"コット博士は述べた(口頭でのコミュニケーション、2012115日)。 "これは症状を治療するためのコリンエステラーゼ阻害剤のデータと非常に異なっています。 アセチルコリンがほとんど残らない効果を引き上げていますが、あなたはそれが神経保護効果を持っていることを期待しないでしょう。 それは期待はずれである一方、予防効果が本研究で見つけられなかったことは驚くことではありません。予防効果はこれまでに最も売れている医薬品を含めで、[アルツハイマー病]の治療のために示されたことはありません。 "

 重要なことに、GuidAgeトライアルでAD発症予想率-理想的な統計的有意性を確保するために到達しなければならない数-は満たされませんでした。研究者らはADの累積発生率は13.8%となると予想しましたが、研究の終わりまでに試験参加者のわずか4.8%がADと診断されました。 トライアル著者らによれば、 "[この]の研究の主な限界は、認知症事象の数が予想よりもはるかに低く、影響を検出するための統計的検出力の欠如につながる、ということでした。"

 しかしながら、計画された13サブグループ解析では、3つのグループは、ADへの進行が有意な減少を示した:少なくとも4年間試験に留まった参加者、男性、アルコールを消費する人々である*3

 シュワーベの"事実と解釈"文書によれば、少なくとも4年間サプリメントを摂取した参加者のグループは、プラセボと比較して、AD発生率が47%減少した。 "治療の最初の4年間は、EGb761とプラセボとの間に有意差は認められなかった。 しかし、4年後に、プラセボ群ではAD発症率(3.01)がEGb761群(1.51)で観察されたレートに比べてほほ倍増した。 "シュワーベの科学者らは書いている。 "著者らはこれらの結果の取り扱いを慎重にすること薦めているが、これはEGb761の予防効果の可能性についての明確な傾向である。"

 USCのシュナイダー博士は、彼のゲストのコメントの中で、特定のサブグループの'正の分析について異なった説明をしている。 "個人が、アルツハイマー病を防ぐことができる前に、4年間イチョウを取る必要があるという仮説は、-参加者が従うことがきるか、またイチョウの使用の4年間生存できるか、フォローアップを失わないか、病気にならないか、認知症にならないか、死なないか(試験参加者の30%がこれらの事象のいずれかを持っていた)を想定するということで-継続した五年間の使用が認知症のリスクを減少させるであろうことによる、フィルタリングや生存効果についての本質的な提言です。"と彼は書いている*10

 キース•ロウ博士、 英国のハートフォードシャー大学の認知神経心理学の教授 であり、20129月の、健常者の認知向上についてのイチョウの影響を調べる無作為、対照臨床試験のメタアナリシスの著者は、記憶、実行機能、または注意の測定で、任意の有意な効果の検出に失敗した。分析に含まれる28の研究は、5日から 4ヶ月の継続期間の範囲であった - 認知症のない個人のみが含まれていた*11

 コット博士によると、メタアナリシスから任意の強い結論を出すことは問題になることがある。 " メタ分析では、表示したいものを表示することができます。 がらくたを入れ、がらくたを捨てることで。 "彼は述べた。 "研究者のバイアスが、実際にメタアナリシスに存在する可能性があります。"

 しかし、ロウ博士は、彼のメタ分析に含まれた研究の質の高さに感銘を受けた、と述べた。 "任意のメタ分析は公開された研究によって制限されています、 すなわち 、研究の数と質。"と、彼は述べた(電子メール、20121019日)。 "我々は、本当に質の高い研究を発見しました。 - すべては、二重盲検で、無作為化対照試験でした。"

 GuidAge研究は、ロウ博士によれば、またよく練られていた。 " ベリャら 研究は非常にしっかりしているように見えます。-それは...イチョウはアルツハイマー病への移行率に有意差を与えていないのは明らかです。"と、彼は述べた (電子メール、20121019日)。 "私は、イチョウを記憶の維持促進または維持する物質として売り込むものはその主張の証拠を提供する必要があるという意見です。我々のデータは、それがほとんど、あるいはまったく基盤をもたないクレームであることを示唆しており、私はそれが不当で根拠のない時にそのようなクレームがパッケージから削除されることを見ることをより望むでしょう。 "

 しかし、メタ分析は、ADの予防ではなく、特に認知強化についての研究を検討したという点でGuidAge臨床試験とは異なっていた。 メタ分析に含まれていた28の試験は、EGb761に加えて、例えば、Li 1370Lichtwer Pharma AG、ベルリン、ドイツ)、ブラックモア(Warriewood、オーストラリア)など、様々なイチョウエクストラクト異なった投与量を特色にしていた。 市販の材料および/ または多くのイチョウ製剤のラベルは、健康集団における認知増強特性( 例えば 、精神的な鋭敏さ、記憶、集中力の向上のため*12)を持っていると主張しているが、EGb761は、特に認知症の治療のためにライセンスを取得しまたは登録薬剤として多くの国々で販売されている。シュワーベのウェブサイトによると、EGb761のターゲットグループは、"初期退化性認知症、血管性認知症、および両者の混合形態を持つ痴呆症候群の患者を、含んでおり、"アルツハイマー病を防ぐことを期待している健康な人ではない*13

 ロウ博士は、イチョウエキスが既に認知症を患っている人々に影響を与えるかもしれないことを認めた。 " イチョウはアルツハイマー病ではかなり異なった役割があるかもしれません。 メタアナリシス( 例えばヴァインマンら 2010年)*14 は、イチョウが すでにアルツハイマー病を持つ人々の認知上のいくつかの有益な効果を持っている可能性があることを示逡しています。"と彼は説明した。 "だから、[それは]アルツハイマー病への移行を防ぐことはできませんが、人々が実際に疾患を発症した後、患者の認知能力に役立つように思われます。問題は、その後、どのくらいの期間、どの程度に...となり、これらの質問には、さらなる調査が必要です。 "

タイラー·スミス

http://cms.herbalgram.org/heg/volume9/11November/GingkoandAlzheimersDisease.html?t=1352830390

 

 

                             記 訳 阿部俊暢