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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2013年1月23日 (水)

研究者、ハーブの専門家が5年間のGuidAge臨床試験の結果を解釈する(3)

ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のための海外ハーブ事情
第46回目の話題:“研究者、ハーブの専門家が5年間のGuidAge臨床試験の結果を解釈する”です。米国植物協議会  The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC  HerbalEGram2012年11月号)の記事よりお届けします。
前号までの記事の解説;
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1.概要
 今回はイチョウの有効性についての前回までの記事の解説です。
 イチョウ(銀杏、学名:Ginkgo biloba)は裸子植物で、2億年前に起源をもつ、世界で最も古い現存する木といわれています。中国原産の落葉高木で、日本には、仏教伝来に伴い移入されたと考えられており、現在では神社、公園などで広く見る事ができます。東京の明治神宮外苑や、大阪御堂筋の街路樹などが、銀杏並木として有名です。
樹高30〜40m。樹皮は灰色で縦列し老木では幹枝から「乳」ともよばれる気根を垂れることがあります。葉は長枝は互生し、短枝では束生します。葉身は扁形で中央が切れ込みます。雌雄胃株で、花期は4〜5月。花は新緑とともに出て、雄花は淡黄色、雌花は緑色です。果実は秋に成熟します。
 
2.日本でのイチョウの用途
 イチョウは油分を含み水はけがよく、材料も均一で加工性に優れ、歪みが出にくい特質を持ち、木材として広範に利用されており、碁盤や将棋盤にも適材とされるほか、特にイチョウ材のまな板は高級とされています(フリー百科事典ウイキペデイア)。ネットでも、イチョウのまな板はたくさん出品されています。また、黄葉時の美しさと、剪定に強いという特性から、街路樹として利用されています。多くの都道府県・市区町の木に指定されており、東京都のシンボルマークがイチョウなのは有名です。
 イチョウの種子は、銀杏(ぎんなん、ぎんきょう)と言い、殻を割って中の仁が調理されます。仁は直径1.5センチメートル前後のラグビーボール形で、熱すると半透明の鮮やかな緑色になりますが、水分を吸うと黄色っぽく不透明になります。彩りを兼ねて茶碗蒸しなどの具に使われたり、酒の肴としても人気があります。
3.日本での薬用用途
 牧野和漢薬草大図鑑には以下の記載があります。
薬用部分:種子(銀杏)、白果(ハクカ)。
薬効:鎮咳、夜尿症に用いられる。鎮咳、去痰薬として用いいる場合は、生薬5g〜10gを煮てその汁とともに食べるか、焼いて食べるとよい。多色または生食すると中毒をおこし、ときに死亡することもあるので注意が必要。
また夜尿症に用いる場合には、就寝前に子供の歳と同数だけ銀杏を煮るか焼いて食べさせる。
 生薬名、白果(ハクカ)とありますが、最新薬用植物図鑑には、日本では医薬品としての使用は許可されていないとありますので、もっぱら民間療法での使用と思われます。
4.西欧でのイチョウ
 イチョウは、日本、中国から1727年にヨーロッパにもたらされ、栽培されるようになったといわれています。日本や、中国漢方で古くから利用されてきた種子ではなく、西欧ではもっぱら葉に関しての研究がなされ、ドイツではイチョウ葉のエキスが血管障害の薬として開発され、他のヨーロッパ諸国でも多く使われるようになっています。近年ではアメリカでもdietary supplementとしてよく使われており、日本にも輸入されています。
 ハーブ大百科(王立園芸協会)では、“主成分のひとつギンコライドは、他のどのような植物にも見られないもので、PAF(血小板活性因子)を阻害し、アレルギー反応を抑制する作用がある。ギンコウ•フラボノイド類は循環器系機能向上に特に効果があるようである”と記載されています。
 
5.イチョウの有効性についての研究 
 イチョウは以下にも述べるように、西欧(特にドイツ)でもっとも臨床研究を含む研究がなされているハーブの一つです。
 “過去30年間で、イチョウリーフの独自標準化抽出液に対して行われた400の科学的研究が存在している。主要な研究は、カールスルーエ、ドイツのW.シュワーベ社、独自抽出物EGb-761の生産者、によって実施された。乾燥抽出物は、薬学的に乾燥したリーフの35-67:1比の最終抽出物に調製され;標準24%のギンコフラボノール配糖体(ケルセチン、ケンフェロール、およびイソラムネチンのようなフラボンに基づく)と6%のテルペンラクトン(ギンコライドとビロバリド)の標準化が行われる。 化学、薬理学、毒物学、そしてEGb761の臨床適用の様々な分野で行われた臨床試験をレビューした包括的な、ほぼ網羅した、401ページの本が公開されている(DeFeudis、1998)。
 一般に、イチョウリーフエキス(GBE)は、その神経保護作用の特性と高齢者の循環障害を助ける能力、特に脳の機能不全の問題とその結果として認知効果、末梢循環障害、特に間欠性跛行(下肢の血行不良)、めまいと耳鳴りのために、ヨーロッパで普及して、現在は米国と世界の他の地域でも広く使用されている。 高山病に対する防護、男性の勃起不全の仲介の新しい用途も検討されている。“      *ABC(アメリカ植物評議会)Web拡張モノグラフより
 ここで注意すべきは、研究はイチョウ葉エキスより抽出製剤された標準化されたエキスについてのものだということです。Eコミッション(ドイツ植物委員会)のモノグラフでも、上記標準化されたイチョウエキスについてだけが承認されたモノグラフに含まれており、他のイチョウ製品については未承認となっています。
*ABC(アメリカ植物評議会)Web ドイツEコミッションモノグラフうより
 
 市場には、名称はイチョウ葉エキスでも、イチョウ葉エキスの含有量、品質の異なるさまざまな商品があります。これらは臨床試験を行っているイチョウ葉エキスと規格や品質が同等であるとは限りません。そういう意味で、一般的なハーブの効果を臨床試験の結果により評価することは非常に困難を伴うということがいえます。また標準化された製品でも、今回の記事のように、使用目的 “痴呆症の改善ではなく予防” が違ってくると、異なる結果を生じ、専門家の間でも意見が異なってくる場合が多く見られます。ハーブの有効性に意義をはさむ人はあまりいないと思われますが、個々のハーブの有効性については玉石混交の情報が氾濫し、混乱しているように見えます。より公平な質の高い情報の提供がまたれます。
6.日本でのイチョウエキスの使用
 日本でも健康食品としてイチョウエクストラクトが広く販売されています。
 イチョウ葉エキスを健康食品等として利用するためには、有効成分と有害成分の規格がなければ、安全に利用することはできません。そこで、一般にイチョウ葉エキスの規格品としては、「フラボノイド類を24%以上、テルペノイド6%以上を含有し、ギンコール酸の含有量が5ppm以下」という規格が用いられています。日本でも(財)日本健康・栄養食品協会がイチョウ葉エキスに対して同様の基準を設けています
  (健康補助食品規格基準集(追補)、平成15年1月15)
  *厚生労働省の「健康食品」のホームページwebサイトより
7.イチョウの安全性
 メデイカルハーブ安全性ハンドブックには、イチョウの葉と種子についての記載があります。
 葉は、クラス2d—薬用のMAO阻害薬に影響を与える可能性がある。
   イチョウ葉製剤は一般に副作用は報告されていない。
   まれにおこる頭痛と胃腸障害のみが報告されている
 種子は、クラス2d-長期の使用、過剰の摂取をしてはならない
 さまざまな文献はイチョウ種子の毒性について、同一の見解を示している
 わけではない。カナダにおいては、規制により本品を食品として使用することは禁止されている。新鮮な果肉質の果実は、皮膚炎、消化障害と他の不快な症状を起こす可能性がある。
 と記載されています。
 日本での安全性についての記述
先の厚生労働省のWEBサイトには以下の記述があります。
 “イチョウ葉エキス摂取による副作用として、まれに軽度の胃腸障害、頭痛、アレルギー性皮膚炎が認められています。イチョウ葉エキスを有効に利用するためには、適切な摂取量を守ることが重要です。”
 また、ギンコール酸のアレルギーについても記載されていました。
 医薬品との相互作用についての記載もありました。詳細は、独立行政法人 国立健康•栄養研究所の「健康食品」の安全性•有効性情報をご覧ください。
 •懸念される事象
   相互作用による出血傾向の増加
   薬物代謝作用の増強による薬品効果の源弱 など
 
                       記  阿部俊暢
参考資料
*ABC(米国植物評議会)Web  ドイツEコミッションモノグラフ、拡張モノグラフ、
*メデイカルハーブ安全性ハンドブック(メデイカルハーブ広報センター)
*ハーブ大百科(英国王立園芸協会 誠文堂新光社)
*牧野和漢薬草大図鑑(北隆館)
*最新薬用植物学(廣川書店)
*独立行政法人国立健康•栄養研究所Web 健康食品」の安全性•有効性情報

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