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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2012年8月

2012年8月30日 (木)

古代エジプトの妙薬?スイレン

ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のための ボタニカル講座
第16回目の話題: “ スイレン”
今回は、8月15日に撮影した秋保大滝植物園の植物より“スイレン”を紹介します。
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【概論】
日本において、一般的なスイレン(睡蓮)は、いくつかのスイレン属の野生種を交配、品種改良し、作出された園芸種です。花の色、葉の色、模様、様々な姿の品種が存在します。ハス(蓮)とよく混同されますが、ふたつは全く違った植物です。ハスはハス科ハス(Nelumbo)属の植物です。以前はスイレン科に分類されていましたが、現在は違いが明らかになりハス科として独立しています。一般的な見分け方としては、スイレンの葉が水面に浮かぶのに対し、ハスの葉は空中に立ち上がるという特徴があります。
 スイレン(Nymphaea属)は、スイレン科の属の一で、葉が浮遊している水生多年草です。50種の世界的な属です。N.lotusエジプトスイレン( ヨザキスイレン)は、アジア、アフリカの温暖な地域に分布しており、N.odorataニオイヒツジグサは北米原産です。熱帯植物から耐寒性植物まで、さまざまな色と大きさの品種や交配種が、観賞用として栽培されています。外見がN.odorataにそっくりの、ヨーロッパ産のN.albaや、アメリカ産のN.tubarosaも含まれています。属名はギリシャ語の「水の妖精」nymhaiaからきています。
 日本にはヒツジグサ(N. tetragona)の1種類のみ自生しています。日本全国の池や沼に広く分布しています。白い花を午後、未の刻ごろに咲かせる事からその名が付いたと言われています。
 Nymphea.odorataニオイスイレンは北米先住民の間で長く薬用に使用されてきました。N.alba、N.tuberosaも互換使用できます。19世紀根茎の粉末は湿布薬の材料として薬種屋で売られていました。N.Lotus (エジプトスイレン)は古代エジプトの美術、儀式、食料、薬品に最も重要な植物でした。花は軟骨に欠かせない成分、オイルな湿布薬と緩下剤調剤、葉は肝臓疾患の治療薬であったようで、根は生または料理して食べ、種子はパンに加えました。エジプトスイレンの花は現在でもエジプトのハーバリストが冷却、鎮静効果を利用しています。(ハーブ大百科)
 日本においてスイレンは、もっぱら観賞用としての用途に限定されているようで、最新薬用植物学、牧野和漢薬草大図鑑とも記載はありませんでした。
スイレン科の植物では、ハス(現在はハス科)、コウホネ、ジュンサイなどが生薬として利用されています。
 エジプトスイレンの花から抽出されたオイルは、日本でもアロマテラピーに使用する精油として、入手可能です。ロータスの精油は香水の原料としても広く使用されています。
【薬用その他の用途】
英国王立園芸協会ハーブ大百科には以下のように記載されています。
Nymphera Lotaus
〈利用部位〉根茎、花、実、種子
〈特徴〉鎮静、収斂性のハーブで利尿、鎮静、解毒作用があり、媚薬効果もあるといわれている。
〈薬用〉ヒンズー教アーユルヴェーダでは消化不良、腸炎、下痢、内痔核、非泌尿器系疾患、発熱、不眠に根茎を。動悸に花を、ヘビの咬傷による血尿に実のジュースとSetaria italica、または粟と混ぜたものを内服する。
〈その他の用途〉
 インド、スリランカ、中国の一部では根茎を澱粉質の野菜として茹でてから粉に挽いて利用する。実はピクルス、カレー、小麦粉に混ぜてパンとする。種子を水の中で潰したものは古くから糖尿病の薬である。また高栄養食として油であげてもよい。
 
【安全性についての情報】
独立行政法人国立健康•栄養研究所の「健康食品」の安全性•有効性情報には記載がありませんでした。
AHPA(アメリカハーブ製品協会)のメデイカルハーブ安全性ハンドブックにも記載はありませんでした。
【日本での現状】
 日本ではスイレンは、もっぱら観賞用であり、製品としてはアロマテラピーで使用される精油(Abs:有機溶剤抽出法による)のみが販売されているだけのようです。尚、ロータスの精油として販売されているものの中には、ハスの花から中抽出されたと記載されているものもありました。アーユルヴェーダ関連の商品は見つけることができませんでした。
                             記 阿部俊暢
参考資料
 英国王立園芸協会 ハーブ大百科(誠文堂新光社)
 最新薬用植物学(廣川書店)
 メデイカルハーブ安全性ハンドブック(メデイカルハーブ広報センター)
 独立行政法人国立健康•栄養研究所Web 健康食品」の安全性•有効性
 アロマテラピー図鑑(主婦の友社)