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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2012年7月

2012年7月29日 (日)

アリストロキン酸を含む漢方薬による健康被害(2)

ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のための海外ハーブ事情
第17回目の話題: “台湾におけるアリストロキア酸に曝されることに伴う尿路癌の高い比率”−2です。
米国植物協議会 The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC HerbalEGram2012年6月号)の、記事よりお届けします。
http://cms.herbalgram.org/heg/volume9/June2012.html

以下意訳抜粋  前号より続く

しかしながら、AAへの暴露の自分のレベルを決定することは挑戦的かもしれない。 "ほとんどの人は、彼らの処方の一部を持ってきて、成分をテストしない限り、彼らがAA-含有植物を摂取したかどうか知らないでしょう。"とアプトンは説明した。

"歴史的に最もAAの不純物混和に結びつけられたハーブは、アケビ (mu tong  木通)、 センニチソウ( wei ling xian 威霊仙 )と、 シマノハカズラ( fang ji 防己)を含みます。歴史的に、 AAの不純物混和に関連する最も人気のある処方は、竜胆瀉肝湯(肝臓の水抜きをするゲンチアナ煎剤) とBa Zheng San (矯正のための8っのハーブのパウダー)です。 両処方とも、アケビ (mu tong 木通)、誤ってAA-を含有するAristolochia manshuriensis(関木通)を配合される可能性があるハーブを含んでいます。 "アプトンが追加した。 "北米では、これらはおそらく最も一般的な不純物混和の処方でしょう。 不純物混和は、非常に特定の成分に対して非常に特定の例で発生するので、一般的には漢方薬の使用に関する懸念はありません。 "

チェン博士によれば、広防己 (A. fangchi) または関木通 (A. manshuriensis)のようなAAが含まれているハーブの使用は、米国と欧州連合(EU)だけでなく台湾や、アジアの多くの国でも禁止されている。 彼はメールに書いた。"実際には、将来のどのような事件をも回避するための抜本的対策で、[これらのハーブ]を販売する台湾の商人は刑事告発の対象となります。"(J.チェン、電子メール、2012年6月4日)。

既存の規制にもかかわらず、グロルマン博士と彼の同僚は、アリストロキン酸への曝露が"世界の公衆衛生に重要な意味"持っていると結論した。アプトンによると、 "AAの毒性の問題は、世界中の規制当局と責任あるハーブ業界の集団よって積極的に対処されました。彼らは、市場からAA含有ハーブを遠ざけるための処置をとりました。望むらくは、現在存在してる懸念ではなくかつて存在した問題であるとみなされることです。 "

-タイラー·スミス

http://cms.herbalgram.org/heg/volume9/06June/AAinTaiwan.html?t=1339010283

解説:
今回の記事は、有毒物質のアリストロキン酸(アリストロキア酸)を含むウマノスズクサ科の植物の不純物混和による漢方薬での健康被害についてです。

                         
1.アリストロキン酸(アリストロキア酸)とは
 アリストロキア酸 (Aristolochic acid) は、主にウマノスズクサ属 (Aristolochia) などのウマノスズクサ科の植物などに含まれる、フェナントレン骨格を持つ芳香族カルボン酸です。アリストロキン酸には腎毒性および発がん性や変異原性を有することが確認されており、それらを含むハーブを使用した健康食品や生薬により、日本を含む世界各地で、深刻な健康被害が報告されています。現在では、世界各国で使用を禁止する国が多くなっています。

2.アリストロキン酸を含む植物
  アリストロキン酸は、ウマノスズクサ屬を含むウマノスズクサ科の植物に広く含まれています。ウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)の植物は、熱帯に多く、温帯(東アジア・北米・ヨーロッパ)にかけて世界に6属約600種が分布しており、日本にはウマノスズクサ属とカンアオイ属が自生しています。
(フリー百科事典ウイキペデイアより)
 特にアリストロキン酸を含む有害植物として有名な植物は、*1ウマノスズクサ属と*2カンアオイ属(フタバアオイ屬)に多く含まれます。
 アリストロキン酸を含有する植物は多くの文化圏で昔から抗炎症薬やハーブ薬として使われてきています。ワイルドジンジャーや、バージニアスネークルートは北アメリカの伝統的民族植物学の文献でヘビ咬傷の治療のために述べられています。(メデイカルハーブ安全性ハンドブック:AHPA編)。一方で、世界各国でアリストロキン酸による、健康被害が広く知られるようになり、記事にもある通り、使用を禁止する国が増えています。日本でも、ウマノスズクサ科の植物として漢方薬の生薬として認可されている植物はありません

メデイカルハーブ安全性ハンドブックでは、アリスロキン酸を含むハーブとして以下の5種類を上げています。
Aristolochina clematitis (バースワート 和名:テッセンウマノスズクサ)
Aristolochina contorata (バトウレイ 和名;コウマノスズクサ)
Aristolochina debilis  (バトウレイ 和名:ウマノスズクサ)
Aristolochina serpentaria (バージニアスネークルート)
Asarum canadense (ワイルドジンジャー 和名カナダカンアオイ)

*1ウマノスズクサ屬(アリストロキア屬)
英国王立園芸協会のハーブ大百科には以下のように記載されています。
“悪臭を放つ、非耐寒性または耐寒性の蔓性植物、灌木、よじ上り植物、多年草。300種が、主にアメリカの温暖な地域に分布している。A.clematisは、ヨーロッパ中部と南部に見られる。蔓性の植物の多くは魅力的な葉と、興味をそそる嫌なにおいのする花のために栽培されている。属名はギリシャ語のaristo「最善」とloklia「出産」を語源として、特に安産に薬効があるとされている。”
記載されている植物は以下の通りです。
•Aristolochina clematitis:バースワート:古くから出産時に使われ、古代エジプトにもその記述がある。
•Aristolochina debilis :バトウレイ ウマノスズクサ:AD600年代、古代漢方の処方書に初めてその名が見られる。
•Aristolochina serpentaria バージニアスネークルート:北米先住民がヘビの咬傷に効くと珍重した。ヨーロッパの医療に入ってきたのは17世紀で、ヘビの咬傷と狂犬病の治療としてであった。1970〜80年代に流行したこの植物の薬用成分の研究用に膨大な野生種が採取されたため、現在では滅多にみられなくなった。
•Aristolochina reticulate レッドリーヴァ テキサススネークルート:同様の、しかし大型の種類。
•Aristolochina indica:ヒンズー教アーユルベーダの堕胎薬
•Aristolochina bracteata:インド、南アフリカで使用される
•Aristolochina longa  北米産
•Aristolochina rotunda 南ヨーロッパ産


* 2カンアオイ(フタバアオイ)屬
英国王立園芸協会のハーブ大百科には以下のように記載されています.
“根茎の落葉または常緑の多年草で、70種以上が、日本を中心に北半球の温帯地域に広く分布。フタバアオイ屬の数種類は薬用に利用される。”
記載されている植物は以下の通りです。
.Asarum canadense ワイルドジンジャー 北米南西部産
.Asarum canadense アサラパッカ ヨーロッパ東部、北部産
.Asarum sieboldie 中国産の野生ショウガ

*Asarum siebolidieは和名ウスバサイシンといい、中国や日本の漢方薬の生薬(細辛)です。細辛は、神農本草経や傷寒論などにも記載されている代表的な生薬です。日本では生薬としては根および根茎が使用され、アリストロキン酸を含有している可能性がある地上部の使用が禁止されています。その他日本ではAsarum kooyanuma Makino(カンアオイ:土細辛)が細辛の代用に使用されています。

*中国漢方薬におけるウマノスズクサ屬のハーブ
今回の記事にもあるように、中国や台湾などで販売されている、伝統薬製剤(中国や台湾では,中薬又は中成薬といわれる),煎じ薬並びにこれらと類似する健康茶などの健康食品などには、アリストロキン酸を含むウマノスズクサ科の植物が含まれている可能性があります。代表的な植物は以下の通りです。
.Aristolochina maushuriensis Kom 関木通 キダチウマノスズクサ 
.Aristolochina moupinensis Franch 淮通 淮通馬兜鈴 
.Aristolochia kaempferi Willd.(淮通)オオバウマノスズクサ
.Aristolochina fangchi 広防己 防己馬兜鈴
.Aristolochia yunnanensis Franch 南木香
.Aristolochina debilis Sieb.et Zucc 根:清木香、実:馬兜鈴 バトウレイ
     (国立健康•栄養研究所 「健康食品」の安全性•有効性情報より)

以下 解説 次号

                                        記 訳 阿部俊暢