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阿部俊暢

宮城県仙台市出身。定禅寺通りのけやき並木と同じ1958年生まれ。2003年阿部代表とともに定禅寺ハーブギャラリーを開業。夢は世界中のハーブを集めたハーブ農場の開設。JAMHA認定ハーバルセラピスト、AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。

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2012年4月

2012年4月24日 (火)

更年期のほてりを緩和するための中国のハーブミックス

第4回目の話題:ハーブ•アロマテラピーを学ぶ方のための海外ハーブ事情、
 “更年期のほてりを緩和する中国のハーブミックス”
 今回は、更年期に効果のある?中国のハーブミックスについての話題です。米国植物協議会 The American Botanical Council(通称「ABC」)の(ABC HerbalEGram2012年3月号)でリンクして紹介している、ニュース記事よりお届けします。
http://www.reuters.com/article/2011/12/02/us-chinese-herb-idUSTRE7B123Y20111202
 

以下抜粋:
 (ロイターヘルス) -弱いエストロゲン様活性を有すると考えられている、特定の伝統的な中国のハーブミックスが、更年期のほてりを和らげるのに役立つかもしれないことを、小規模な臨床試験が示唆している。

研究者によれば、本研究で使用した配合は、その最初の更年期の症状への使用の記録が1000年以上さかのぼる、Qing E Fang,として知られる中国の伝統的な製剤に基づいていた。研究者は、その製剤から2つのハーブ-トチュウ樹皮*1とオランダビユ果実*2-の使用に加え、第三には、漢方薬で"婦人科疾患"の治療に使用されているタンジン*3と呼ばれるハーブを加えた。

研究は興味深いです。Dr. Gregory A. Plotnikoff、ミネアポリスのアボットノースウェスタン病院の健康と癒しのための研究所のディレクター、は述べている。
しかし、更年期症状への使用をも含めたハーブ薬の研究者であるPlotnikoffによれば、この研究にはまた多くの重要な限界が存在する。
一つは、本研究でのプラセボの応答は "ほとんどの臨床試験および、私がこれまで検討したすべての更年期ほてりの試験と比較して、巨大なことです。"彼は電子メールでロイターヘルスに語った。
研究の女性達が、"何かを証明する"ために、あるいは研究者を喜ばせるために、ホットフラッシュの改善を報告している可能性があるかどうかを含め、その問題を提起します。Plotnikoffは述べている。
彼はまた、研究が、ハーブ群の統計的に大きな改善が、プラセボ群*4に対して本当に優位であったかどうかを知るには小さすぎる、と述べた。 違いは "かろうじて"統計的に有意であった、とPlotnikoffは述べた。より大きなグループが研究されていれば、 "容易に解消できます"

研究者は、現在の調査結果を確認するためのさらなる大規模な試験が進行中であると述べた。

SOURCE: bit.ly/tIpeAG Menopause, online November 14, 2011.

解説:
 今回の話題は、伝統的な中国のハーブ調合品の有効性に対するある研究と、その評価についてです。
 1994年の栄養補助食品健康教育法(DSHEA)以来、ハーブの有効性を表示する健康強調表示の評価基準に関して、さまざまな議論が行われています。これには大きく2つの取り組みがあると言えます。
1) エビデンスに基づくアプローチ
2) 経験的または伝統的アプローチ
 特に、エビデンス(安全性と効能についての科学的根拠)が重要視されるようになり、その結果様々な研究が行われています。
 通常、メデイカルハーブの効果と安全性を確定するために、ブラセボ*4を対処とした比較試験、および二重盲検比較試験が行われます。ブラセボを対照とした比較試験では、研究開発中の薬剤を被験者群に渡すと同時に効果のない偽薬を別の被験者群に渡します。二重盲検比較試験は、研究者、被験者のいずれもが、どちらの薬剤が被験薬剤であるかわからない状況で行う比較試験です。単純盲検試験では、研究者はどちらが被験薬剤かを知っていますが被験者には知らされていません。
 しかし、今回の専門家の指摘にも見られるように、被験者および研究者双方の影響を完全に除去するのは困難であり、有効性の評価は意見がわかれます。また、試験の規模や被験者の選定などによっても研究の結果は大きく変わるため、資金が不足しがちで、マスコミにとりあげられやすいメデイカルハーブの研究の評価は特に難しくなると考えられます。
「発表された研究の大部分には不備があり、基本的には価値はないとみなすべきだ」とは、ギリシャのイオニア医科大学とボストンのタフツ医科大学の疫学者ジョン•イオニデス博士がPublic Library of Siencr Medicine(2006年8月号)に寄せた言葉です。
 今後、研究の質をあげるためには、エビデンス(科学的根拠)のアプローチだけにたよらず、経験的、伝統的アプローチも含めたバランスのとれた研究が必要であるとの指摘があります。日本でも健康に対する関心の高まりより、今後このような研究がマスコミをにぎわすと思われますが、幅広い見地にたった総合的な評価が必要になると考えます。
                           記  阿部俊暢

* 1:トチュウ樹皮:
学名:Eucommia ulmoides トチュウ科:
生薬名、杜仲(トチュウ)と呼ばれ、腰痛、足腰の倦怠感解消、頻尿、肝機能・腎機能の強化、高血圧に効果があるとされる 
* 2:オランダビユ果実
学名:Psoralea corylifolia L マメ科
生薬名補骨脂(ホコツシ)と呼ばれる。補腎壮陽の主薬として用いられている。
* 3: タンジン
学名:Salvia militiorhhiza シソ科
根を生薬タンジン(丹参)と称し、月経不調、月経痛などを治す目的で漢方処方に配合される。
* 4:偽薬:
(ぎやく、プラセボ、placebo)とは本物の薬のように見える外見をしているが、薬として効く成分は入っていない、偽物の薬の事である。成分としては、少量ではヒトに対してほとんど薬理的影響のないブドウ糖や乳糖が使われる事が多い。Placeboはラテン語で、「私は喜ばせる」の意。日本では「プラシーボ」と呼ばれる場合も多い。